列車先頭部分のヘッドライトは、「列車がいることを周囲に伝える」ことを目的に光らせるものです。ですが、JR西日本の車両で、連結面での点灯を見たことはありませんか?
一見すると、ライトの消し忘れのように感じられますが、そうではありません。車両の隙間から人が落ちないよう、警告の意味を込めてわざと点灯させているのです。
現在、車両の連結面の多くには、隙間からの転落を防ぐ板がついています。しかし、先頭に出る可能性のある運転席部分にはそれがなく、2010年12月、ここからの転落による人身事故が起こってしまいました。そこで、その再発防止策として、乗客への注意を促すために連結面のライトを点灯させたのです。
ちなみに、国土交通省が定めた「公共交通機関の車両等に関する移動等円滑化整備ガイドライン」には、 「運行中に車両の連結・分離などが行われるなどの理由により、転落防止設備が設置できない場合には、音声による警告を行うことが望ましい」とあります。実際、阪神電車、西武線などの車両では、音声による警告がありますが、当時、JR西日本の車両にはその機能がありませんでした。ライトの点灯は、すぐに対応できる苦肉の策だったともいえるでしょう。
その後JR西日本では、中間に入る可能性のある先頭車に、転落防止板の設置が進められました。これで連結面からの転落の危険が少なくなり、板がある部分のライト点灯はなくなっていきました。