愛媛県の西にある宇和島駅は、高松駅から松山駅を経由して延びる予讃線の終点の駅。高知県へと向かう予土線の列車も乗り入れるこの駅は、両線の拠点駅として、国鉄時代には車両基地(現在の宇和島運転区)が開設され、SL用車庫によく見られる「扇形庫」や「転車台」も設置されました。
この全国でも数が減った扇形庫が残る宇和島運転区ですが、残念ながら土地の売却のために更地化される計画が浮上。貴重な扇形庫や転車台も取り壊される恐れが出てきました。
そこで立ち上がったのが、任意団体の「床下土風」です。愛媛県や京都府などで建物の再活用プロジェクトなどに取り組んできたこの団体は、2020年から宇和島運転区の扇形庫でも展覧会を開催していました。今回、JR四国から扇形庫などを借り受けることで、展覧会事業の充実や定着、人々の交流と創作の場として活躍する拠点の開設を目指すといいます。
JR四国から引き継ぐ予定なのは、扇形庫のほか2棟と転車台、その周辺の土地です。扇形庫はギャラリーやアトリエとして使用するほか、別の建物にはカフェ&ショップを設置。転車台はそのまま活用し、その周囲は原っぱとする計画です。
残念ながら、現時点では用地契約に向けた費用が不足し、この計画も実現できない可能性が。今後の展開がどうなるか、注目です。