鉄道友の会は5月26日、2022年の「ブルーリボン賞」「ローレル賞」を決定したと発表しました。
ブルーリボン賞とローレル賞は、日本の鉄道車両の進歩発展に寄与することを目的に、鉄道友の会が毎年1回、前年の1月1日から12月31日までの間に国内で営業運転を正式に開始した新造および改造車両を対象として、鉄道友の会会員の投票に基づき選定している賞です。
ブルーリボン賞に選ばれた京急1000形1890番台は、ロングシートとクロスシートの転換が可能な「L/C座席」を京急では初めて採用。一般列車や座席定員制列車、貸切列車と、幅広い列車への充当に対応しています。また、サービス度の向上を目的として、こちらも京急では初となる、車内トイレ設備が導入されました。
機器類では、ハイブリッドSiC適用のVVVFインバータ制御や、全閉外扇式の主電動機といった、最新水準のものを採用。一方で、台車は従来型のものを採用し、実績のある安定した仕様を踏襲しています。
このように「チャレンジングな姿勢と堅実性を兼ねそろえたトータルバランスに優れた車両であり、多くの会員の支持を集めた」ことから、鉄道友の会は1890番台をブルーリボン賞に選定しました。
ローレル賞に選定された東京メトロの17000系は、有楽町線・副都心線用として導入された車両。同じく選定された18000系は、半蔵門線用として導入された車両です。
両形式は、デザインこそ異なるものの、車体構造や搭載機器には共通点が多い、いわば兄弟車の関係。座席幅の拡大や全車両へのフリースペースの設置など、客室設備・バリアフリー設備が従来車よりレベルアップされています。また、17000系の8両編成では、主電動機の極数を6極から8極に変更し、高効率化が図られました。
両形式は得票数が多く、サービス設備や搭載機器のレベルアップや基本仕様の共通化による取り扱い、メンテナンスの共通化の最大化といった点が評価され、ローレル賞に選定されました。
同じくローレル賞に選定された京阪3000系3850形は、「プレミアムカー」用車両として新造された車両。8000系のプレミアムカー車両である8550形と同様、車内には2+1列の回転式リクライニングシートが設置されています。また、側面の行先・種別表示器は、LCD式のものを使用。複層ガラスの層間に液晶ディスプレイを内蔵する「infoverre」を、鉄道車両の車外向け窓用ガラスでは世界で初めて採用しました。
鉄道友の会では、時代に呼応した幾多の細やかなサービスを提供してきた京阪特急の系譜を引き継ぎ、あらゆるシーンにおいて心地よい移動空間を楽しむことができる完成度の高さを評価して、ローレル賞に選定したとしています。