JR東日本は7日、2023年春にも、上越新幹線の最高速度を引き上げ、時速275キロでの運転を開始すると発表しました。現行の時速240キロから引き上げることで、東京~新潟間は最大7分程度の所要時間短縮が見込まれているということです。しかし、実は1990年代にも、上越新幹線では時速275キロでの運転が実施されていたのです。
かつて時速275キロ運転が実施されていたのは、1990年から1999年までのこと。トンネルの多い上毛高原~浦佐間の約35キロで実施されており、下り列車のみが対象となっていました。なぜ下り列車だけなのか、といえば、トンネル内の下り勾配を利用して加速していたため。加えて、この速度で走るためには越後湯沢駅を通過せざるを得ず、設定本数は限られていました。
充当車両は0系タイプの200系でしたが、特別に改造を受けた12両編成4本を充当。高速域での性能を向上したり、対象区間で信号を読み替える変更が施されていました。
1990年11月の時刻表によれば、当時の「あさひ(現在の「とき」)」1号は、上野~新潟間を1時間36分で走破。途中の停車駅は長岡のみで、同駅で速達タイプの在来線特急「かがやき」と接続。北陸方面への最速達ルートを構成していました。
東海道新幹線の「のぞみ」よりも早く時速270キロ台での運転を実現した上越新幹線ですが、10年弱でこの高速運転は終了してしまいました。1998年に200系よりも加減速性能が優れるE2系が投入されたこと(後に一時撤退)が理由と言われています。また、1997年に北越急行ほくほく線が開業したことで、越後湯沢駅が在来線特急「はくたか」との乗換駅となり、同駅の重要度が向上したことも無視できないと思われます。
2023年春に復活する時速275キロ運転ですが、今度は車両が自力で加速する正攻法での実現。この速度向上で、東京~新潟間は最速で1時間30分ほどで結ばれることとなります。