JR四国を除くJR各社の電車では、車体の隅に所属表記が書かれています。たとえば、常磐線を走るJR東日本のE231系では、東京支社と松戸車両センターを表す「東マト」、広島エリアを走るJR西日本の227系では、広島支社と下関総合車両所広島支所を表す「広ヒロ」などとなっています。
長年使われてきたこの所属表記ですが、JR東日本やJR西日本のものは、まもなく変更されてしまうかもしれません。
JR西日本は、10月1日に地方支社組織を再編し、金沢支社を除く各支社は「統括本部」の傘下とする予定です。現時点で近畿統括本部の傘下となっている京阪神エリアに加え、和歌山・福知山支社は新たに近畿統括本部傘下に再編。岡山・米子・広島の各支社も、中国統括本部の下部組織となります。
JR西日本の広報担当者によると、組織改正後の所属表記については調整中とのこと。しかし、2010年に大阪支社などを統合した近畿統括本部が発足した際には、所属表記がそれまでのもの、たとえば網干総合車両所宮原支所は「大ミハ」から「近ミハ」へと変更されています。今回も同様に、たとえば広島の227系の表記は中国統括本部を表す「中ヒロ」となるように、変更が実施される可能性もあります。
JR東日本でも同様に、2022年度以降の組織改正を計画しており、10月からは各支社などの現業機関が再編される予定。東京支社は「首都圏本部」、仙台支社は「東北本部」となり、JR西日本のように表記も変更されると思われます。
伝統ある表記が消える……と思われるかもしれませんが、現在の首都圏の所属表記は約30年前に変更されたもの。たとえば松戸電車区(現在の松戸車両センター)の場合、国鉄時代には東京北鉄道管理局を表す「北マト」という表記でした。特にJR西日本では、近畿圏の組織再編をたびたび実施していたこともあり、JR発足後は表記が複数回変わっています。普段何気なく見る表記も、時代に応じて変化していくのです。