ドイツの「ルフトハンザドイツ航空」を運営するルフトハンザグループは現地時間7月4日、ドイツ鉄道が8月1日付で、航空連合「スターアライアンス」にインターモーダルパートナーとして加わると発表しました。これまで航空会社のみが加盟していたスターアライアンスにとって、今回のドイツ鉄道は初めての異業種の加入。なぜ航空業界と鉄道がタッグを組んだのでしょうか。
実は、ドイツ鉄道とルフトハンザは、1982年から両社が連携し、「ルフトハンザ・エアポート・エクスプレス」を運行してきました。この列車は、ドイツ鉄道が運行する列車にルフトハンザの航空便名を付け、列車を国内線航空便の代わりとするものでした。この「ルフトハンザ・エアポート・エクスプレス」は1993年に廃止されましたが、その後も航空便と列車の連携は続いており、「ルフトハンザエクスプレス」というサービスでは、高速鉄道「ICE」の一部座席が航空機乗り継ぎ客用に確保され、該当座席のチケットは航空便として扱われています。
今回のドイツ鉄道とスターアライアンスの連携は、このドイツ鉄道とルフトハンザの連携サービスに基づくもの。「ルフトハンザエクスプレス」同様にICEが接続航空便として販売されるほか、航空便との乗り継ぎ時にはICE乗車区間でも航空会社のマイルの積算対象となります。
スターアライアンスでは、将来的にインターモーダルパートナーシップを拡大する予定としています。そこで気になるのが日本の鉄道会社が加盟する可能性ですが、筆者はこれは難しいのではないかと考えます。
ドイツでは、航空機では採算が取りづらい区間で鉄道と連携してきたほか、国際空港へ高速鉄道が直接乗り入れるという土壌がありました。一方の日本では、航空会社は大都市間輸送に大型機を投入しており、鉄道と航空ではシェアを上手く分け合っています。また、空港連絡鉄道は、ほとんどが空港と近隣市街地のアクセスを担うのみで、航空輸送と広域鉄道輸送が連携している例は多くありません。
とはいえ、たとえば2029年度に開業を予定するJR東日本の「羽田空港アクセス線」が完成したタイミングで同社が加盟し、特急「ひたち」などが連帯輸送を担う、といったことは考えられます。いずれにせよ、今回のドイツ鉄道の加盟はスターアライアンスにとって初の事例となるので、今後の展開次第では、日本の鉄道会社が加盟する可能性はゼロではありません。