7月4日、大阪メトロ10系の1126編成が、緑木検車場へ回送されました。これをもって、同社の10系は引退となりました。
10系は1973年、大阪市交通局(当時)初の電機子チョッパ制御車として谷町線に配置された20系(4両編成1本)が始まりでした。その後、「10系」への形式変更と8両編成化を行い、御堂筋線に転属。1979年に誕生した第2編成では、正面デザインが変更されたほか、大阪市営地下鉄で初めて冷房装置が搭載されました。1989年までに9両編成26本が出そろい、1996年には組成変更によって10両編成23本の体制になりました。1998年から車体更新が始まり、側面帯のデザインの変更、車内設備の一新のほか、前面のブラックフェイス化など、スタイリッシュな風貌に変わりました。2006年以降の更新車は制御装置をVVVFインバータへ変更し、形式も「10A系」と区別されています。
装いを一新し、新車とともに御堂筋線ほぼ一筋で走り続けた10系ですが、未更新車は2011年までに引退。更新車も、2013年頃から30000系と入れ替わる形で廃車が始まります。2019年以降はVVVF制御の10A系も置き換え対象となり、急激に数を減らしました。最後に残ったのはラストナンバーの1126編成で、引退前の約2週間は、記念のヘッドマークを掲出しました。
交通局初の冷房車として、大阪随一の大動脈である御堂筋線を支え続けてきた10系。全面広告や市営交通110周年のリバイバルラッピングなど、ときに少々の遊び心が見られる「楽しい電車」でした。しかし、寄る年波には勝てず、登場50周年を迎えずに姿を消すことになりました。いまは、緑木検車場に残る未更新車の先頭部分が、10系の存在を後世に残す唯一の存在です。