自動車と一緒に道路を走る区間がある路面電車。1960年代は、東京、横浜、名古屋、大阪、福岡など、多くの大都市で見られましたが、時代とともに自動車が増え、だんだん邪魔者扱いされるようになってしまいました。そして、地下鉄などと入れ替わるように、路面電車は次々に消えていったのです。
しかし最近は、路面電車のよさが見直されてきています。その魅力は、建設費用の安さ、乗り降りのしやすさなど。地下鉄ではトンネルの建設にお金がかかるほか、地下深くのホームに行くのも、お年寄りや体の不自由な人には大変です。その点路面電車は、トンネル不要、駅にも階段などはほとんどありません。この「楽に乗れて安く作れる」ところが、いま注目されているのです。
たとえば富山では、廃止されたJR線の跡地を、路面電車が走っています。昔からの鉄道が地域の人にやさしい路線として生まれ変わったもので、駅の数、列車の本数が増えたとともに、一部の駅ではホームに降りてそのままバスに乗り換えられるなど、より使いやすい路線になりました。また、宇都宮では、周辺の町を結ぶ路面電車「宇都宮ライトレール」が建設中。自動車が混み合う地域をスムーズに移動できる交通手段として期待されています。
いまでは段差なく乗れる「超低床車両」も増え、ますます乗りやすい交通機関になってきています。このような「やさしさ」こそが、路面電車の大きな魅力といえるのでしょう。