乗車券としてICカードやデジタルチケットが普及した現代ですが、まだ紙の乗車券を完全に廃止できないという事情からか、都市部の駅の多くには乗車券の券売機があります。しかし、東京から近い横浜・川崎エリアにも、券売機を持たない駅は存在します。
その駅は、JR南武支線の一部と、鶴見線のほぼ全駅。あるのはICカード乗車券をかざす簡易改札機や運賃表のみ。南武支線の小田栄駅は設置当初から券売機未設置ですが、鶴見線の駅も2022年2月末をもって撤去されました。
この理由として考えられるのは、やはりICカード乗車券の浸透でしょう。いまは大半の人がタッチで改札を通過する時代で、乗車券を買う機会は、この約20年で減ってきています。また、とくに鶴見線は定期利用者が多く、券売機を置く必要性が薄いのが実情であると考えられます。さらに、券売機の廃止で現金(おつり)の装填といった業務の省略や、維持費の節約もできます。合理化、省力化が進むご時世、このような動きは自然なことといえるでしょう。
これらの駅からICカード乗車券を持たずに電車に乗る場合、「乗車駅証明書」を改札口の機械で発行し、降車駅での精算が必要です。また、券売機のない無人駅間の利用時は、乗車区間の運賃(現金)を降車駅の改札にある乗車券回収箱に入れればよいそうです。
時代とともに、乗車券の在り方も変わりました。「退化」に見える券売機の撤去も、合理化の波に乗った「進化」と言えるのかもしれません。