鉄道コム

鉄道コらム

変わる乗り方、進む合理化 きっぷが買えない都市の駅

2022年9月20日(火) 鉄道コムスタッフ 井上拓己

乗車券としてICカードやデジタルチケットが普及した現代ですが、まだ紙の乗車券を完全に廃止できないという事情からか、都市部の駅の多くには乗車券の券売機があります。しかし、東京から近い横浜・川崎エリアにも、券売機を持たない駅は存在します。

その駅は、JR南武支線の一部と、鶴見線のほぼ全駅。あるのはICカード乗車券をかざす簡易改札機や運賃表のみ。南武支線の小田栄駅は設置当初から券売機未設置ですが、鶴見線の駅も2022年2月末をもって撤去されました。

券売機が撤去された鶴見線国道駅改札口。赤枠の部分が券売機の撤去跡、緑枠の部分が乗車駅証明書発行機と乗車券回収箱です
券売機が撤去された鶴見線国道駅改札口。赤枠の部分が券売機の撤去跡、緑枠の部分が乗車駅証明書発行機と乗車券回収箱です

この理由として考えられるのは、やはりICカード乗車券の浸透でしょう。いまは大半の人がタッチで改札を通過する時代で、乗車券を買う機会は、この約20年で減ってきています。また、とくに鶴見線は定期利用者が多く、券売機を置く必要性が薄いのが実情であると考えられます。さらに、券売機の廃止で現金(おつり)の装填といった業務の省略や、維持費の節約もできます。合理化、省力化が進むご時世、このような動きは自然なことといえるでしょう。

これらの駅からICカード乗車券を持たずに電車に乗る場合、「乗車駅証明書」を改札口の機械で発行し、降車駅での精算が必要です。また、券売機のない無人駅間の利用時は、乗車区間の運賃(現金)を降車駅の改札にある乗車券回収箱に入れればよいそうです。

乗車駅証明書(武蔵白石駅発行)
乗車駅証明書(武蔵白石駅発行)

時代とともに、乗車券の在り方も変わりました。「退化」に見える券売機の撤去も、合理化の波に乗った「進化」と言えるのかもしれません。

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

鉄道コムおすすめ情報

画像

京成の新型車「3200形」詳細

実は「ギリギリ」な設計だった? 京成電鉄の新型車両「3200形」を深掘りします。

画像

西武山口線に新型車

4両編成3本を2025年度~2027年度に順次導入し、8500系を代替。デザインは各編成別。

画像

「T4編成」展示へ

1月で引退の「ドクターイエロー」T4編成、先頭車がリニア・鉄道館で保存へ。6月に展示開始予定。

画像

幻の東京圏「改良計画」とは?

1950年代の国鉄は、東京圏を今と違った形に改良する計画を持っていました。その中身とは?

画像

撮影スタイルとレンズ選び

撮影スタイルにあったレンズ選びについて、プロカメラマンが解説! 今回は、標準~望遠・超望遠レンズ編です。

画像

1月の鉄道イベント一覧

2025年も鉄道コムをよろしくお願いします。1月の計画立案には、イベント情報をどうぞ。

画像

イベント投稿写真募集中!

鉄道コムでは、臨時列車や基地公開など、さまざまなイベントの投稿写真を募集中! 投稿写真一覧はこちら。