羽田空港への玄関口のひとつとして賑わう、浜松町駅。同駅のJR線ホームの片隅に、小便小僧がいることをご存知でしょうか。
彼が佇むのは、3・4番線ホームの品川寄り先端。設置は1952年で、70年という長い歴史があります。
そのきっかけは、鉄道開業80周年の節目でした。戦後の混乱が残る当時、浜松町駅の駅長が記念碑になるものの設置を考えたそうです。駅長がこの件について国鉄(当時)の嘱託歯科医に話したところ、歯科医の持ち物である小便小僧の譲渡が提案されます。駅長はこれを受け入れ、ホームの端に設置したのです。最初、彼は陶器製でしたが、1955年に現在のブロンズ像に変わりました。
この小便小僧、「オシャレ」なことで知られています。彼は頻繁に服を替えており、季節のトレンドを意識したファッションをいつもキメているのです。小便小僧界のファッションリーダーと言ってもよいでしょう。オシャレになったのは、1955年頃のこと。最初は、乗客の女性が個人で服を作っていました。彼女の逝去後、数年のブランクを経て、ボランティア団体「手芸グループ あじさい」の方々が衣装づくりを引き継ぎ、いまに至ります。
多彩な衣装に身を包み、列車と乗客を見守って70年。彼の日々は、これからも続いていくのでしょう。2022年10月には、70周年記念のイベントも企画されています。この秋、歴史あるオシャレなモニュメントに、会いに行ってみませんか。