鉄道コム

鉄道コらム

迷惑行為はもうやめて 「撮り鉄」がいま考えるべきこと

2023年6月4日(日) 鉄道コムスタッフ 井上拓己

撮影時の注意事項が記載された張り紙
撮影時の注意事項が記載された張り紙

私たちの生活に欠かせない鉄道を愛する、鉄道ファン。気軽に撮影できる機材が普及したためか、いわゆる「撮り鉄」と呼ばれる、鉄道写真を趣味とする人も多くなりました。

しかし近年、撮り鉄による迷惑行為が多数報道され、そのイメージは悪化の一途をたどっているように感じます。SNSなどでは、「撮り鉄は犯罪者」、「撮り鉄は反社会勢力」といった過激な言葉を目にするようにまでなってしまいました。筆者も一人の撮り鉄として、現在の状況はとても恥ずかしいものであり、また残念であると思っています。

横行する迷惑行為の背景にあるのは、「自分の手で納得いく1枚を残したい」、「自分が撮影することに意味がある」という思いでしょう。同じ撮影者として、その気持ちはとてもよくわかります。しかし、周りを見ず、その思いだけで突き進んでよいのでしょうか。

珍しい列車や人気の高い車両が走ると、ホームの端や線路際には、多くの撮影者が集まります。そうなると、自分の思った通りの構図が組みづらいのか、怒鳴り声をあげる、喧嘩をするなどのトラブルが多く発生しています。また、鉄道会社が禁止する危ない場所(線路内など)に入るといった行動も報道されているほか、列車が来るまでホーム上を走り回って遊びだす集団などを、私自身も見たことがあります。このような行為は、鉄道を使う周囲の方や鉄道会社に対し、迷惑以外の何物でもありません。これでは、鉄道ファンの常識が問われても文句は言えないでしょう。

端的にいうと、「自分は公共性の高い場所にいる」という自覚を持つことです。集団でいるときは気が大きくなり、1人でいるときより行動が大胆になりやすい。それが人間の心理ではありますが、周囲に迷惑をかけてよい理由にはなりません。むしろ、大人数で固まっているからこそ、周りへの迷惑が最小限になるよう、全員で協力すべきではないでしょうか。度が過ぎた暴走行為の末、撮影が禁止された場所も実際にあります。自分中心の身勝手な言動は、最終的には自分の首を絞めることになるのです。

周囲への迷惑も顧みず、鉄道に平気で泥を塗るような者は、ファンでもお客様でもありません。鉄道が本当に好きなら、そのかかわり方を、いま一度考えるべきではないでしょうか。撮り鉄である前に、この社会に生きる1人の人間であることを、忘れてはならないのです。

 

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

関連鉄道リポート

鉄道コムおすすめ情報

画像

高崎・盛岡に新型気動車

ハイブリッド気動車「HB-E300系」2025年度下期デビュー。八高線や釜石線などに投入。

画像

東武の車両「記録推奨度」

この車両、いつまで走る? 引退が危ぶまれる車両や、見た目が変わりそうな車両をご紹介。今回は東武編です。

画像

4000系が「機関車風」塗装に

「西武秩父線開通55周年記念車両」11日運転開始。4000系をE851形を模した塗装に変更。

画像

撮影スタイルとレンズ選び

撮影スタイルにあったレンズ選びについて、プロカメラマンが解説! 今回は、高倍率ズーム・広角レンズ編です。

画像

京都鉄博に381系

12月12日~17日に特別展示。16日までは、一部で「スーパーくろしお」色ラッピングも実施。

画像

11月の鉄道イベント一覧

数百件の情報を掲載中。鉄道旅行や撮影の計画には、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。