10月14日は「鉄道の日」。1872年の旧暦9月12日、つまり新暦の10月14日に、日本初の鉄道が新橋~横浜間で開業したことに由来します。
1867年から1868年にかけて江戸幕府から明治政府に実権が移ると、新政府では欧米に追いつくべく急速な近代化を模索します。その一環として、1869年には東京~京阪神間を結ぶ鉄道建設を決定。その第一歩として、新橋~横浜間の鉄道建設が盛り込まれました。
新橋~横浜間が最初の建設区間となったのは、日本の新たな首府たる東京と、国外と繋がる開港地である横浜を接続するため。また、平坦な地形が多く、モデル線としての建設に適していたことも理由に挙げられます。とはいえ、当時の海岸線は現在よりも西側にあり、線路は一部で海上に作られた築堤の上を走っていました。この築堤のうち、高輪エリアのものは高輪ゲートウェイ駅付近の開発時に発掘され、「高輪築堤」として一部が保存されることとなっています。
ところで、先述したように日本初の鉄道が開業した日は10月14日ということになっています。しかし実は、それ以前にも列車は運行されていました。6月12日(旧暦5月7日)、品川~横浜間が開通し、仮開業していたのです。この時点では新橋駅は開業しておらず、横浜駅は現在までに2度移転しているため(当時の横浜駅は現在の桜木町駅)、品川駅は実質的に日本で最も古い駅となっています。
加えて、本開業の日も、実は10月14日ではなく、10月11日とする予定でした。旧暦9月9日であるこの日は、縁起の良い「重陽の節句」。将来の発展を祈り、験を担いだ日取りとしたのでした。しかし、残念ながらこの日は暴風雨に。その結果、現在知られる10月14日に開業が延期となったのでした。
本開業日から出鼻をくじかれた日本の鉄道ですが、その後の発展はご存じの通り。戦後には新幹線を開発し、世界の高速鉄道時代の幕を開けました。世界に名だたる日本の鉄道は、2022年10月14日に開業150年を迎えます。