特別料金不要の最速達列車として、京急線では「快特」、京成線では「快速特急」が存在します。現在、京急の車両が京成線内を快速特急で、京成の車両が京急線内を快特で、それぞれ走る機会がありますが、問題はその種別表示。京急車両は京成線内で「快特」、京成車両は京急線内で「快速特急」を表示しています。
「快特」は快速特急の略称でも使われますが、それぞれの正式名称は、京急が略した「快特」、京成が略さない「快速特急」です。このため、京成車両が京急線内で出す「快速特急」、京急車両が京成線内で出す「快特」表示は、細かくいうと正式名称と一致しません。
チグハグな表示の背景には、両社の「快特」と「快速特急」の成り立ちがあります。その歴史は少々ややこしく、京急はもともと「快速特急」だった呼称を「快特」へ、京成は後に登場した「快速」との読み間違い防止などを目的に、当初の正式名称だった「快特」を「快速特急」に、それぞれ変更しています。とくに京成車両は、この変更に対応して「快特」の種別表示を削除したため、京急線内を正式な名称で走れなくなったのです。
とはいえ、もともと似た者同士の種別であるためか、その後も表示の追加などは両社ともありませんでした。正式名称が一致しない快特、快速特急は、いまも健在……ですが、2022年11月の京急線のダイヤ改正で、京急線と京成押上線を直通する日中の種別が「特急」に変わります。これに連動し、京急線直通が絡む押上線の快速特急も、その多くが変更されるようです。ちょっと違和感のある種別の列車も、今後は珍しいものになると思われます。