鉄道コム

鉄道コらム

これで君も鉄道はかせ!

山手線を走る仲間外れの中間車 扉の位置、窓の形、なぜ違う?【これで君も鉄道はかせ!】

2023年5月5日(祝) 鉄道コムスタッフ 井上拓己

東京の真ん中をぐるりとまわる、山手線。現在の車両では、乗客用の扉が1両に4か所ありますが、10号車(外回り列車の前から10両目)だけ、一部の扉の位置と窓の形などが、ほかの車両と違います。なぜ違うのか、その理由は、品川~東京~田端間を並んで走る京浜東北線と、各駅のホームドアが関係しています。

同じホームに扉の位置が大きく異なる車両が入ると、ホームドアは設置しづらくなります。山手線だけが走る区間は問題ないのですが、京浜東北線と一緒に走る区間は、事故や工事などでどちらかの線路が使えないとき、京浜東北線が山手線に乗り入れるなど、両線が線路を共有することがあります。そのため、一部の駅では、山手線と京浜東北線の両方の車両に対応できるホームドアが必要なのです。

扉の位置を調整した山手線の10号車(写真上)。左端の扉を少し中央に寄せ、京浜東北線の10号車(写真下)の扉の位置に近づけています
扉の位置を調整した山手線の10号車(写真上)。左端の扉を少し中央に寄せ、京浜東北線の10号車(写真下)の扉の位置に近づけています

山手線、京浜東北線とも、扉の数は1両に4か所。しかし、編成両数が異なること(山手線は11両、京浜東北線は10両)、運転席すぐ後ろの扉は車両の中央に寄っていることの2点が問題になりました。山手線の10号車(運転席なし)と京浜東北線の10号車(運転席あり)で、一部の扉の位置がズレるのです。そこで、山手線の10号車の扉の位置を調整。京浜東北線の10号車に近い仕様とし、ホームドアの設置に対応させました。

この「山手線の少し変わった10号車」は、2010年頃から導入されました。ちなみにその後、開く部分を大きくできるホームドアが開発され、扉の位置のズレは大きな問題にならなくなりました。この「少し変わった10号車」は、当時のホームドアの設計技術を物語る存在といえるでしょう。2023年1月現在、山手線のみで見ることができます。

ちなみに、少し変わった10号車が導入される前、この山手線の10号車(と7号車)には、乗り降りをスムーズにするため、扉を1両に6か所も設けた車両を連結していました。この「6扉車」は、混雑対策の切り札として、山手線のほか、京浜東北線、埼京線、総武・中央線各駅停車、横浜線、東急田園都市線などでも見られました。しかし、ホームドアに対応できない、乗客が減ったなどの理由もあり、現在はその姿を消しています。

1両に6か所の扉を持たせた車両(写真は総武・中央各駅停車)。かつては山手線でも見られました
1両に6か所の扉を持たせた車両(写真は総武・中央各駅停車)。かつては山手線でも見られました
 

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

関連鉄道コらム

関連鉄道リポート

鉄道コムおすすめ情報

画像

高崎・盛岡に新型気動車

ハイブリッド気動車「HB-E300系」2025年度下期デビュー。八高線や釜石線などに投入。

画像

東武の車両「記録推奨度」

この車両、いつまで走る? 引退が危ぶまれる車両や、見た目が変わりそうな車両をご紹介。今回は東武編です。

画像

4000系が「機関車風」塗装に

「西武秩父線開通55周年記念車両」11日運転開始。4000系をE851形を模した塗装に変更。

画像

撮影スタイルとレンズ選び

撮影スタイルにあったレンズ選びについて、プロカメラマンが解説! 今回は、高倍率ズーム・広角レンズ編です。

画像

京都鉄博に381系

12月12日~17日に特別展示。16日までは、一部で「スーパーくろしお」色ラッピングも実施。

画像

11月の鉄道イベント一覧

数百件の情報を掲載中。鉄道旅行や撮影の計画には、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。