鉄道コム

鉄道コらム

実は貴重な戦時の経験者 新橋駅前のSL

2022年12月8日(木) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

日本で最も有名な展示SLといえば、新橋駅前の保存車両ではないでしょうか。テレビのインタビューでたびたび背景に映し出されるので、どの駅の場面か知らない、けれどテレビで見たことはある、という人も多いかもしれません。

新橋駅前で保存されているSL、C11形292号機
新橋駅前で保存されているSL、C11形292号機

このSLは、C11形292号機。1945年2月に落成し、1972年に引退。鉄道開業100周年を記念して、同年10月から新橋駅前に展示されています。2022年は鉄道開業150年ですから、今年で展示開始からちょうど50年。落成から引退までは27年なので、現役期間よりも保存展示期間の方が長い機関車となっています。

そんな292号機は、製造時期を見てわかるとおり、第二次世界大戦の末期に製造された個体。日本本土が空襲に晒された頃、また終戦後の混乱期といった、厳しい時代を生き抜いてきた機関車なのです。

戦時中に製造された車両では、物資の節約や製造工程の簡略化を目的とした「戦時設計」となっているものがあります。C11形では、この292号機を含むグループが該当。現在でも、通常は丸くなっているボイラー上の「蒸気ドーム」が角張っているのがわかります。さらに製造当時には、先頭部の板「デフレクター(除煙板)」が木製だったといいます。

角張った「蒸気ドーム」。戦時設計型の特徴です
角張った「蒸気ドーム」。戦時設計型の特徴です

第二次世界大戦終結から約80年の時が経過し、当時を知る人も減りつつありますが、当時の「モノ」は、今でもこうして身近なところで歴史を伝えてくれます。

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

鉄道コムおすすめ情報

画像

ラストランは2月10日

「青胴車」5001形は2月10日にラストラン。引退前の「乗車会」開催や、引退記念グッズ発売も。

画像

「T4編成」展示へ

1月で引退の「ドクターイエロー」T4編成、先頭車がリニア・鉄道館で保存へ。6月に展示開始予定。

画像

幻の東京圏「改良計画」とは?

1950年代の国鉄は、東京圏を今と違った形に改良する計画を持っていました。その中身とは?

画像

「サステナ車両」5月デビュー

元小田急の西武8000系が、車両基地を出場。デビューは2024年度末から2025年5月末に変更。

画像

撮影スタイルとレンズ選び

撮影スタイルにあったレンズ選びについて、プロカメラマンが解説! 今回は、標準~望遠・超望遠レンズ編です。

画像

1月の鉄道イベント一覧

2025年も鉄道コムをよろしくお願いします。1月の計画立案には、イベント情報をどうぞ。

画像

イベント投稿写真募集中!

鉄道コムでは、臨時列車や基地公開など、さまざまなイベントの投稿写真を募集中! 投稿写真一覧はこちら。