地理的に離れた場所にあっても、その地名などが同じことで表記が全く同一の駅が全国には数多く存在します。JRの駅に限っても55組あり、そのうち読み方も同じものは34組。さらに34組中2組については、2駅でなく3駅あるので「〇〇線の」といった明確な指定が欠かせません。今回はそれらを紹介します。
1例目は大久保駅。JRの駅では、秋田県、東京都、兵庫県にそれぞれあります。開業年は順に、1902年、1895年、1888年。秋田県の大久保駅は当初から官営の駅として開業したのに対し、他の2つは1906年の国有化に伴い官設鉄道の駅になった経緯があります。同じ官営の駅であれば、旧国名を付けるなど混同を避けるための改称がされそうですが、そうした対応はなく3駅とも同じ駅名のまま現在に至ります。
2例目は白石駅。北海道、宮城県、熊本県にあり、順に1882年、1887年、1908年に開業しました。大久保駅同様、歴史が古いのが共通点ですが、北海道の白石駅は開業後20年余り休止や再開などを繰り返した過去があり、熊本県の白石駅は2020年の大雨被害により今は休業状態とさまざま。白石駅には兄弟分があるのも特徴で、一例として肥前白石駅があります。駅名重複回避の好例と言えるでしょう。
同じ表記に限れば、柏原駅も3つあります。分布は滋賀県、大阪府、兵庫県と比較的近いため、窓口できっぷを買う時などは要注意。読みは順に、かしわばら、かしわら、かいばらと異なりますが、行先を印字するタイプのきっぷ券面にはそれぞれを区別するため、路線名の1字が括弧で付されるのがポイントです。
遠近多様な同一駅名の組合せ。青春18きっぷを使った長旅などで、大久保駅どうしを乗り通すといったテーマにチャレンジするのも面白いと思います。