古都・京都の中心駅である京都駅は、普段から多くの利用者が行き交います。メインの改札は「烏丸中央口」で、長いホームや大階段を持つ駅ビルが印象的です。
そんな京都駅の駅ビルには、烏丸中央口の他にも、「地下中央口」という改札口がありました。中央と名乗っていますが、普段の利用者は少なく、ひっそりとした状態。しかしここは、京都駅のかつての歴史を物語る施設なのです。
京都駅にはかつて、シティエアターミナル「京都CAT」がありました。国際線航空便の搭乗手続きが街中でできる施設で、京都CATではここで荷物を預かり、利用者は手ぶらで空港へ向かえる、というサービスも提供されていました。その京都CATがあったのがこの場所。観光地のターミナル駅で、かつ関空特急「はるか」が発着する駅として、国際線利用者の利便性向上を目指す設備でした。
しかし、2001年の米国同時多発テロを受けたセキュリティ強化策などを理由として、京都CATを含む各地のシティエアターミナルでの事前手続きサービスは終了してしまいました。結果、この改札口も当初の目的が消滅し、荷物預かり所が設けられた、ひっそりとした改札口となってしまったのです。
京都駅の穴場の改札と言えたこの地下中央口は、2022年12月25日をもって、営業が終了してしまいました。JR西日本に理由を問い合わせたところ、「お客様のご利用状況を鑑みて営業を終了した」ということ。しかし、貴重な駅ナカスペースを使用しないのも少々もったいないこと。京都駅では改良工事が進められているため、あわせて何らかの形で再利用されることが期待されます。