終着駅までのすべての駅にとまる列車には、様々な呼び方があります。メジャーなものは「普通」と「各駅停車(各停)」で、その意味は基本的に、どちらも同じです。
ですが、これはあくまで「基本的に」の話。なかには、「普通」「各停」の両方を設定し、使い分けている会社もあります。
関西で見られる例は、南海電気鉄道のもの。南海本線が「普通」、高野線系統が「各停」と、路線系統で使い分けています。これは、本線と高野線が並走する難波~岸里玉出間のうち、今宮戎駅と萩ノ茶屋駅は高野線側にしかホームが設置されていないため。本線の列車は、両駅のホームがないので、すべての駅にとまることが物理的にできません。そこで、「普通」と「各駅停車」を分け、両駅の停車の有無を区別しているのです。「普通列車の下位に各駅停車を設定している」ともいえるでしょう。
このような事情から、南海の普通列車では、「天下茶屋までの各駅と、新今宮にとまります」などのように、停車駅の案内があります。また、「汐見橋線」とも呼ばれる岸里玉出~汐見橋間の列車は、「各駅停車」の扱いになっています。これは、この区間が高野線の一部であり、各駅にとまる種別の名称を、同線が使っているものに合わせたため。現在、車両の表示は「汐見橋‐岸里玉出」と、運転区間だけを示す形態ですが、時刻表などには「各停」の表記が残っています。
ちなみに2005年3月まで、神戸電鉄でも「普通」と「各駅停車」の2種類がありました。これは、廃止された菊水山駅の停車有無による違い。電車や駅、時刻表などの種別表示は「普通」で統一されていましたが、車内のアナウンスでは、菊水山にとまる列車で「各駅停車」の文言が聞かれました。また、駅の自動アナウンスでは、「普通列車」に対して「菊水山にはとまりません」という言葉が追加されていました。