品川区の大井町駅を起点とする、東急大井町線。おおむね南西~北東方向に走る東急の各路線を東西につなぐ役目を持ち、各駅停車と急行の3種類の種別で運転されています。
ん? 2種類の間違いではないかって? いいえ、3種類で正解です。
車両や時刻表などの表示を見ればわかりますが、この路線、各駅停車に「青」と「緑」の2種類があります。もちろんこれは、気まぐれで色を変えているわけではありません。
両者には、田園都市線と並走する二子玉川~溝の口間の停車駅に違いがあります。青の各停は両駅間にある二子新地駅と高津駅にとまる一方、緑の各停はこの2駅を通過します。通過駅のある各駅停車とは不思議な響きですが、これが生まれた背景には、大井町線に田園都市線のバイパス機能を持たせたことが関係しています。
東急は2009年、田園都市線の混雑緩和を目的に、二子玉川駅どまりだった大井町線を溝の口駅まで延伸しました。これにより、両駅間は「両端2線が田園都市線、内側2線が大井町線」の複々線となりました。しかし、二子新地、高津の両駅のホームは、外側の田園都市線側のみの設置にとどまりました。結果、大井町線は各駅停車でも通過駅を持つことになってしまったのです。この各駅停車は緑色で表示し、「『大井町線の線路上にある』各駅にとまる」ことを強調しています。
ですが、二子玉川、溝の口の各駅近くには、田園都市線と大井町線を行き来できる渡り線があります。これを使い、二子新地、高津の両駅にとまる大井町線の各停も設定されました。こちらは種別表示を青色で区別し、車内アナウンスでも「田園都市線経由」という文言を入れています。なお、田園都市線の各駅停車は長らく種別を表示しない状態でしたが、2017年末頃に表示を開始。フルカラーLEDの表示器をもつ車両は「各停」の表示が青色で、大井町線の青い各駅停車と色を揃えています。
【5月8日追記:駅名の誤りを修正しました】