鉄道コム

鉄道コらム

準急がとまって各駅停車は通過? 阪急中津駅のややこしい停車パターン

2024年6月5日(水) 鉄道コムスタッフ 井上拓己

阪急京都線の普通列車(各駅停車)に乗って、ターミナルの大阪梅田駅を出発。左に大きくカーブして、次の中津駅……。

……を通過します。

この駅にとまるのは神戸線と宝塚線の列車だけ。京都線にはホームがなく、普通も通過します。このような扱いになっている理由は、京都線の成り立ちと、同線の梅田延伸の歴史にあります。

ホームのない中津駅を素通りする京都線の各駅停車
ホームのない中津駅を素通りする京都線の各駅停車

京都線はもともと、新京阪鉄道が全通させた「新京阪線」が源流です。新京阪鉄道は現在の京阪電気鉄道の子会社で、のちに京阪が吸収合併しています。新京阪線の終点は十三駅で、ここで阪神急行電鉄(当時)の宝塚線と神戸線に接続していました。戦時下の1943年には、京阪と阪神急行が合併し、京阪神急行電鉄に名前が変わります。両社は戦後に再び分離するも、新京阪線は阪神急行側に残り、路線名も京都本線に変更。これにより、現在の阪急電鉄の路線がほぼ完成します。

1959年、京都線の十三~梅田間が延伸されるも、乗降客数やスペースの問題から、中津駅の設置は見送られたといいます。このため厳密に言うと、京都線は全列車とも各駅にとまれなくなったことになりますが、中津以外のすべての駅にとまる種別は、他路線と同じ「普通」です。あくまで「『京都線の線路上にある』各駅に停車」という意味なのでしょう。

この中津駅は普通のほか、宝塚線では準急も停車しています(神戸線は普通のみ停車)。一方では準急がとまるのに、隣の路線では普通でさえ通過という、ちょっと変わった逆転現象を見ることができます。

中津駅に停車する宝塚線の準急
中津駅に停車する宝塚線の準急

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

鉄道コムおすすめ情報

画像

東上線に新型「90000系」

「今までにない印象に残る大胆な先頭形状」を採用。9000系置き換え用に2026年デビュー。

画像

京王本線ではない理由とは?

京王の本線格となる路線は、「京王本線」ではなく「京王線」。この路線名となっている理由を探ります。

画像

違う車両のエキスポライナー

323系による特別使用車が使われれると発表されていた「エキスポライナー」。しかし平日朝には別の形式が使用されています。

画像

実は特殊仕様の中央グリーン車

中央線快速に導入されたグリーン車は、実は他路線の車両とは異なる特殊仕様。その中身とは?

画像

「元新京成車」扱いどうなる?

4月1日の京成電鉄と新京成電鉄の合併後、元新京成車はどうなる? 京成に取材しました。その将来の分析も。

画像

3月の鉄道イベント一覧

ダイヤ改正の3月到来。鉄道旅行や撮影の計画は、鉄道コムのイベント情報で。

画像

イベント投稿写真募集中!

鉄道コムでは、臨時列車や基地公開など、さまざまなイベントの投稿写真を募集中! 投稿写真一覧はこちら。