鉄道車両それぞれを区別するための書き方は様々ですが、特に鉄道趣味界隈では、「4001F」などという、「F」を付けた呼び方を使うことがあります。この「F」は一体何なのでしょうか?
2両以上の鉄道車両が連なると、これは「編成」となります。「F」は、この編成を表す英単語、Formationの略。つまり、先の4001Fの場合は、4000系という形式のうち、4001号車が先頭車の編成を表すのです。
この「F」が使われるのは、主に私鉄電車の固定編成。そのほかのもの、たとえばJRの電車の場合は、それぞれに「編成番号」が付けられているので、私鉄のように「F」を使うことは基本的にありません。具体的には、JR東日本のE5系の1本目はU1編成、JR東海の315系の1本目はC1編成といった具合。ここで「F」を使って「U1F」と呼んだり、あるいは先頭車両の車号から「クハ315-1F」と呼ぶことはありません。同様に、客車や気動車など、1両単位で組み替えることが前提の車両でも、「F」(あるいは「~編成」)という呼び方は使用しません。
しかし、鉄道趣味界隈でよく使われる「F」ですが、事業者の正式な表記ではこれを使わないことも多々あります。たとえば、京浜急行電鉄の場合には、組み替えが多く、編成が固定されないため、「F」ではない方法(例:2101編成や2101-など)で呼ぶのだとか。同様に、小田急電鉄や阪急電鉄では先頭車両の車号と編成両数を組み合わせた表記(小田急は5051×10など、阪急はC#8000×8Rなど)だったり、名古屋市営地下鉄では「F」の代わりに「H」を使用する、といった例があります。
とはいえ、筆者が「F」を使用しない私鉄の現場社員や広報担当者に話を聞いていると、「普段は『F』で呼んでいる」「社内では公式には『F』は使わないが、外部ではわかりやすい書き方で良い」という答えが返ってくることもありました。マニアックな趣味者としては突き詰めたくなるところですが、実際に車両を扱う側からすれば、区別さえつけばいいのかもしれません。