2023年3月18日のダイヤ改正で、東武東上線の快速列車が廃止される予定です。これにより、東武鉄道全体から、「快速」という種別が消滅することになります。今回は、消えゆく同社の快速について、見ていくことにしましょう。
東武では日光線系統に、特別料金不要の速達列車として、古くから快速列車が設定されていました(「準快速」という種別も一時あったようです)。「快速」の名前が充てられたのは、当時の日光線系統は特急、急行ともに特別料金が必要な列車であり、料金不要の種別をそれらと区別すべきだったためと思われます。1960年代後半以降、快速には6000系や、その後輩の6050系といったセミクロスシート車両がおもに充当され、日光・会津方面へのリーズナブルな速達列車として親しまれてきました。
東武は、2006年のダイヤ改正で、日光線内の停車駅を増やした「区間快速」を新設するとともに、従来の急行を特急に統合。そして急行は、地下鉄半蔵門線に直通する料金不要の速達種別に生まれ変わりました。新たな急行の停車駅は快速・区間快速よりも多く、「急行より早い快速」の図式が成り立ちました。
東上線の快速は、2013年3月のダイヤ改正で初登場。急行が各駅にとまる川越~小川町間でも通過駅を持ち、すでに設定されていた快速急行とともに、急行より速い列車となりました。2022年現在、昼間は30分間隔で池袋~小川町間を走り、小川町駅で寄居方面を発着する列車に連絡します。
急行を上回る速達性を発揮し、特別料金なしで遠距離輸送を担ってきた東武の快速と区間快速ですが、2017年4月のダイヤ改正で、日光線系統から姿を消しました。この時点で東上線には残されたものの、こちらも冒頭のとおり、2023年3月のダイヤ改正で廃止の予定です。急行より速く走って約17年、その歴史に幕を下ろすことになります。