飛行機で使われているエンジンは、燃料を燃やして発生したガスでタービン(羽根車)を回す「ガスタービンエンジン」です。いわゆる「ジェットエンジン」や、プロペラ機のエンジン、ヘリコプターのエンジンは、見た目こそ異なるものの、大きく分類するとみなガスタービンエンジンとなります。
そんなガスタービンエンジンを、かつての国鉄は鉄道車両の動力源として用いることを計画し、実際に試験車両を導入していました。
1972年に製造されたキハ391系は、将来の非電化路線特急列車へのガスタービン車導入を目指して開発されました。見た目は3両編成ながら、3車体連接というユニークなもので、中間の車体はエンジンのみを搭載するという、これまたユニークな構造でした。また、曲線通過速度の向上を狙い、振り子機構も搭載されていました。
ガスタービンエンジンのメリットは、小型ながらハイパワーという点。キハ391系が搭載したガスタービンエンジン「IM100」は、ヘリコプター用に開発されたものを転用したエンジンですが、1基で1050馬力を発揮しました。当時主力のキハ181系が搭載したディーゼルエンジン「DML30」では500馬力だったため、1基あたりの出力は倍となります。
その高性能で非電化路線の特急列車を革新する可能性があったキハ391系ですが、騒音、そして燃費の悪さがデメリットでした。タイミングの悪いことに、1973年には第一次オイルショックが発生し、燃料費が高騰。燃費がキハ181系の約2倍ともいわれたガスタービンエンジン車は、その実用化が断念されました。
試験が終了した後のキハ391系は、近年まで原型をとどめていましたが、その後大部分が解体。現在は先頭部が大宮総合車両センターに展示されています。