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駅に電車に生きる漫画家の魂 手塚治虫と鉄道の縁

2023年4月7日(金) 鉄道コムスタッフ 井上拓己

現在でも日本を代表する漫画家の一人として名高い、手塚治虫氏。漫画と鉄道は関係が薄いように思えますが、JR東日本、阪急電鉄などでは、氏とのちょっとした縁を感じることができます。

高田馬場駅高架下にある、手塚治虫作品の壁面アート
高田馬場駅高架下にある、手塚治虫作品の壁面アート

JR東日本では、山手線の高田馬場駅と武蔵野線の新座駅で、氏の代表作「鉄腕アトム」のテーマが発車メロディに使用されています。これは、

  • アトムの生誕地が高田馬場で、同所に番組の制作会社があること
  • 手塚氏は1988年から新座市に住み、同所に制作スタジオをつくったこと
  • 2003年4月7日(アトムの誕生日)、新座市がアトムを同市の特別住民に登録したこと

などの縁がきっかけです。この発車メロディは、高田馬場駅ではアトムの誕生日に先駆けた2003年3月に、新座駅ではアトムの特別住民登録1周年を迎えた2004年4月に、それぞれ使用を開始しました。

阪急電鉄では、宝塚駅今津線ホームの発車メロディで、同じく「鉄腕アトム」のテーマが流れます(2014年3月から)。さらに2015年11月~2019年10月の間、宝塚線で手塚氏の作品のキャラクターを描いたラッピング電車が走っていました。これは、豊中市に生まれ、宝塚市で育った氏と、同線の縁が深いことがきっかけ。ラッピング電車には、のちに「宝夢ゆめ」という愛称がつきました。

手塚治虫氏のキャラクターが描かれたラッピング車両「宝夢」
手塚治虫氏のキャラクターが描かれたラッピング車両「宝夢」

ちなみに、手塚氏の作品「ブラック・ジャック」では、山手線、西武新宿線、阪急の特急列車などが登場しています。阪急沿線出身で、高田馬場に制作会社を持つという背景もあったのでしょう。氏と鉄道の縁は、作中でも感じることができます。

2023年で、手塚氏の没から干支2回り(24年)、アトムの誕生日から20年を迎えます。60歳での逝去は本当に残念ですが、多くの作品に込められた氏の魂は、鉄道という意外な場所でも、いまも生き続けています。

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