鉄道コム

鉄道コらム

今は通勤列車、かつては中距離移動の列車 国鉄時代の「準急列車」

2023年2月24日(金) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

一部の私鉄路線では、各駅停車と急行列車の中間に位置する種別として「準急」を運転しています。現代では私鉄の通勤電車の一つという印象が強い準急ですが、かつては国鉄でも運転されていたことがありました。それも、「ガタゴト揺れる満員電車」とは対極の、比較的長い距離を走る列車でした。

国鉄の準急は、戦前期と戦後期にそれぞれ運転されていました。ともに普通列車と急行列車の間の種別ですが、戦前のものは料金不要で、現代の快速に相当するもの。一方の戦後は、急行列車を補完する有料列車でした。

いすみ鉄道で再現された準急列車(旅人KAさんの鉄道コム投稿写真)
いすみ鉄道で再現された準急列車(旅人KAさんの鉄道コム投稿写真)

特急が文字通り「特別な急行」だった時代、庶民の長距離移動は急行列車が主役でした。長距離輸送をメインとした急行に対し、準急は急行よりも近距離の運転が中心でした。車両は急行より一段劣ったものが使用され、時には一般型が使用されることもありましたが、一方では153系のように、後に急行型として扱われるものも使われています。加えて、準急「日光」では特急用車両並の設備を備えた157系が投入されるなど、必ずしも急行未満というわけでもありませんでした。

急行を補完する立場となっていた準急ですが、1966年のダイヤ改正では、走行距離が100キロを超える列車は全て急行に格上げとなり、それまで急行料金と差別化されていた準急料金も統一。急行との違いは種別名のみとなりました。そして「ヨンサントオ」で知られる1968年のダイヤ改正で、準急は全て急行に統合され、国鉄からは消滅してしまいました。

国鉄を引き継いだJRでは現在でも準急は運転されていませんが、東京メトロ千代田線を介して常磐線各駅停車と相互直通運転を実施している小田急小田原線では、直通各社の車両による準急が運転されています。そのため、直通先の私鉄路線限定ではあるものの、現在でもJR車両による準急を見ることができます。

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

鉄道コムおすすめ情報

画像

ラストランは2月10日

「青胴車」5001形は2月10日にラストラン。引退前の「乗車会」開催や、引退記念グッズ発売も。

画像

「T4編成」展示へ

1月で引退の「ドクターイエロー」T4編成、先頭車がリニア・鉄道館で保存へ。6月に展示開始予定。

画像

幻の東京圏「改良計画」とは?

1950年代の国鉄は、東京圏を今と違った形に改良する計画を持っていました。その中身とは?

画像

「サステナ車両」5月デビュー

元小田急の西武8000系が、車両基地を出場。デビューは2024年度末から2025年5月末に変更。

画像

撮影スタイルとレンズ選び

撮影スタイルにあったレンズ選びについて、プロカメラマンが解説! 今回は、標準~望遠・超望遠レンズ編です。

画像

1月の鉄道イベント一覧

2025年も鉄道コムをよろしくお願いします。1月の計画立案には、イベント情報をどうぞ。

画像

イベント投稿写真募集中!

鉄道コムでは、臨時列車や基地公開など、さまざまなイベントの投稿写真を募集中! 投稿写真一覧はこちら。