都営地下鉄は、浅草線、三田線、新宿線、大江戸線の4つの地下鉄を運行しています。この各線のレール幅を見てみると、浅草線・大江戸線、三田線、新宿線で別々の仕様を採用しており、3種類もある状態。なぜレール幅の数が増えてしまったのでしょうか。
日本の鉄道では、レール幅1435ミリの「標準軌」、1067ミリの「狭軌」、1372ミリの「馬車軌」、762ミリの「ナローゲージ」の、主に4つの軌間が使われています。都営地下鉄で使われているのは、ナローゲージを除く3つです。
浅草線で使われているのは1435ミリ軌間。同線の建設時、直通を予定した京成線は1372ミリ、京急線は1435ミリを採用していましたが、後者にあわせた結果でした。ちなみに、京成では直通運転の開始を前に、全線のレール幅を1372ミリから1435ミリに改軌する工事が実施されました。
三田線でも、当初は浅草線と同じ1435ミリを採用する予定でした。しかし、路線計画中に東武線と東急線との直通運転が計画され、1067ミリに仕様を変更。最終的に当初の直通計画は流れた(後に東急目黒線への直通が実現)ものの、レール幅はそのままで建設が進められました。
新宿線では、やはり浅草線と同じ1435ミリ軌間の採用が計画され、1372ミリを採用する京王に、京成と同様の改軌工事実施が打診されました。しかし、既に過密ダイヤとなっていた京王では、改軌工事の実施が不可能であると回答。結果、新宿線が京王線にレール幅を合わせることとなったのです。
大江戸線では、計画当初から1435ミリが予定され、このレール幅で開業しました。現在では、浅草線と同じレール幅であることを活かし、大江戸線の車両が浅草線の車両基地で検査を受けることもあります。
なお、計画通りであれば、三田線も浅草線と車両基地を共用していたはずなのですが、建設計画の変更で断念されました。予定されていたレール幅で都営地下鉄が建設されていた場合、東京の地下鉄ネットワークは今と大きく異なっていたかもしれません。