1998年2月、阪神電気鉄道の大阪梅田駅と山陽電気鉄道の山陽姫路駅が、「直通特急」という1本の列車で結ばれました。両社で仲良く走り続け、今年で四半世紀を迎えました。
この直通特急ですが、設定以来、停車駅の追加、変更が繰り返され、25年でその様相は大きく変わりました。また、同じ種別ながら、その表示は赤と黄色の2種類があるなど、停車駅パターンはかなり複雑です。
黄色の直通特急は2001年に追加設定されたもので、運転士用の時刻表(いわゆる「スタフ」)では「直通B特急」と区別されています。既存の(赤色)直通特急と異なり、神戸高速線内(高速長田~神戸三宮間)の各駅にとまる列車として、表示を区別したものです。停車駅を追加した理由は、直通特急の増発と阪神と山陽の運転間隔の違いにあります。
両線の日中のダイヤは、阪神が10分サイクル、山陽が15分サイクルです。1998年の運転開始時点では、直通特急はその最小公倍数をとった30分間隔(1時間に2本)で設定されていました。しかし2001年、これを1時間に4本へと増発するにあたり、両社の異なる運転間隔が問題になりました。そこで、一部区間の停車駅を増やし、時間を調整することになったのです。色分けしたのは、停車駅の違いをわかりやすくするためと思われます。なお、この直通B特急は現在、神戸三宮~板宿間で各駅停車となっています。
これ以降も、沿線の通勤需要を考慮した、ラッシュ時のみの特別停車の開始、並行するJR線の新駅開業の対抗策としての停車駅追加など、変化が続きます。2023年現在、そのバリエーションは、なんと10種類!非常に複雑ではありますが、これも時間帯で変化する沿線の需要を細かく汲んだ結果ともいえます。四半世紀の節目を迎え、ここから直通特急はどう変化するのか、その動きに注目です。