日本の鉄道車両といえば、架線から得た電気でモーターを回して走る「電車」と、エンジンを回して走る「気動車(ディーゼルカー)」の2つが主力です。近年では「ハイブリッド式気動車」や「蓄電池式車両」も生まれていますが、それでも日本ではまだまだ気動車が非電化路線の主役となっています。
この電車と気動車は、その仕組みが大きく異なることから、基本的には両者が連結して走ることはありません。ただし、北海道では国内で唯一、キハ201系が日常的に電車との連結運転を実施しています。
キハ201系は、函館本線小樽以西の非電化区間から札幌駅へ直通する列車の輸送改善を目指して、1997年に導入された車両。高出力のエンジンを搭載し、電車並みの性能を実現することで、電化区間のラッシュ時ダイヤで足手まといとならない車両となりました。加えて、兄弟車である731系とは、加減速を連動する「協調制御」を実現。一般型車両では前例のなかった、電車と気動車の協調連結運転を実現させました。
電車と気動車が連結すること自体は、それほど難しいものではありません。かつては、北海道の定山渓鉄道や、国鉄→JR西日本の「ゆぅトピア」などが、電車が気動車をけん引する形で実施していました。ただし、これらは電車と気動車の動力を協調するものではなく、気動車はいわば客車状態でした。
協調運転を初めて実現したのは、JR九州の特急「有明」と「オランダ村特急」。「オランダ村特急」自体は特急「ハウステンボス」に置き換えられ廃止されてしまいましたが、その技術がキハ201系に活かされたのです。
日本の鉄道史に残る画期的な車両であるキハ201系ですが、その導入目的となった小樽以西~札幌方面の列車としては、1日2往復に充当されているのみ。しかも、特徴である協調運転を実施しているのは、朝の札幌方面に向かう普通列車1本だけとなっています。かつてはその性能や収容能力を活かし、学園都市線(札沼線)で運用されていたこともありましたが、同線の電化によって運用は消失。現在は、平日日中の小樽~札幌~江別間での運用も含め、もっぱら函館本線で走るのみとなっています。