東京都交通局は3月7日、5300形の営業運転を、2月をもって終了したと発表しました。
5300形は、1991年に営業運転を開始した車両。浅草線向けとして、1997年にかけて27本が投入されました。その運用範囲は広く、京成線や京急線、北総線など、浅草線と直通運転している各路線で走行。東は成田空港駅から、南は三崎口駅まで、京成の成田スカイアクセス線を除く、8両編成が入線可能な直通ネットワーク全区間で活躍が見られました。
そんな5300形ですが、2018年に後継車両の5500形がデビューし、置き換えが進められます。そして2021年9月には5500形の全27本が出そろい、置き換えが完了したかと思われました。しかし、5320編成だけはその後も残存。約1年半の間、生き永らえることとなりました。
5500形の導入と並行して、浅草線や直通各路線では、新しい無線システムの導入が進められていました。しかし、5500形の初期導入分ではこれに対応しておらず、設置改造に時間を要していました。東京都交通局によると、引退が遅くなった理由は「車両運用上の都合」としていますが、どうやらこの改造工事の予備車確保のため、5300形の活躍が続いたようです。
5300形の引退タイミングは、デビューから約30年ということで、一般的にも早ければ置き換えられてもおかしくはない時期でした。しかし、京急の1500形1700番台や600形、京成の3700形、北総鉄道の7300形といった同世代の車両は、事故による廃車を除いて、現在も全車が活躍中です。早い引退はファンからは惜しまれているようですが、ともあれ大きな事故なく無事に引退できたことは、喜ばしいことではないでしょうか。
今回の引退にあわせて、東京都交通局では3月13日、5300形をデザインした「都営まるごときっぷ」を、都営地下鉄の18駅で発売します。なお、現段階ではこれ以外の引退記念企画は予定していないということです。