JR線では、特急、急行など運賃以外の料金が必要な列車には、基本的に専用の車両が充当されています。まれに、そのような専用車両が普通、快速といった特別料金不要の列車で走ることもありますが、一般的な通勤型車両が特急などに充当されるという逆のケースは、現在はほぼありません。
しかし、これは「JR線では」の話。私鉄に目を向けると、JRの通勤型車両が急行や特急といった優等運用に入る姿を、2路線で見ることができます。
ひとつは、小田急小田原線。JR常磐線の車両が東京メトロ千代田線を介して乗り入れ、小田急線内を急行、準急などで走ります。かつてはJRの車両が小田急線に乗り入れることはなかったのですが、2016年のダイヤ改正で直通を解禁。以降、同線を優等運用で駆け抜けるシーンが日常的に見られるようになりました。日中の運転区間は代々木上原~向ヶ丘遊園間ですが、早朝や深夜には最長で伊勢原駅まで足をのばします。
もうひとつは相鉄線。2019年の相鉄・JR直通線開業以降、JR埼京線の車両が乗り入れています。JRの車両の運転区間は、基本的に相鉄新横浜線・相鉄本線の羽沢横浜国大~西谷~海老名間。朝・夕の時間帯を中心に、一部の列車が相鉄線内を特急で走ります。
2023年現在、これらの優等列車に使われるJRの車両は、すべてE233系です。直通先の路線限定とはいえ、JRの通勤型車両では通常ないはずの優等運用が見られます。ある意味、E233系の「花形運用」ともいえるでしょう。