「十年一昔」と言うように、10年前の出来事を見ると時代を感じさせることが多々あります。ある程度の年齢以上の方は、10年はあっという間に過ぎてしまう一方で、「これが10年前だったの!?」と驚くことも少なくないのではないでしょうか。
今から10年前の2013年3月16日は、東急東横線の渋谷駅が地下化され、東京メトロ副都心線との直通運転を開始した日でした。
地上時代の渋谷駅は、いかにもターミナル駅らしい、4面4線の頭端式ホームでした。かまぼこ型の屋根が特徴的で、これは駅の跡地に現在設けられている歩行者用デッキでも再現されています。
副都心線との直通運転が始まったのは3月16日でしたが、これに向けた準備として、東京メトロ7000系・10000系などが、目黒線などの線路を通って東横線の車両基地に搬入され、乗務員訓練などに使用されていました。さらに7000系と10000系は、直通開始に先立つ2012年9月、東横線で営業運転を開始。約半年の間、渋谷~元町・中華街間で東急の車両に混じって運用に就いており、地上時代の渋谷駅に乗り入れる姿も見られました。
渋谷駅地下化前の東横線は、みなとみらい線および東京メトロ日比谷線との直通運転はあったものの、渋谷~元町・中華街間と日比谷線~菊名間の列車が基本の、比較的単純なダイヤでした。それが、副都心線との直通運転開始によって、同線を介して東武東上線や西武池袋線などとも直通することに。神奈川県と埼玉県を結ぶ、広域ネットワークが新たに形成されたのです。
副都心線直通開始から10年が経過した東横線ですが、2023年3月18日には、新たに開業する東急新横浜線を介して、相鉄線との直通運転が始まります。2013年に直通区間を拡大した東横線は、10年の時を経て、神奈川県のさらに西へもネットワークの手を広げ、利用者の利便性を向上していきます。