3月18日の相鉄・東急直通線の開業で、東急東横線などの7社局による直通ネットワークがさらに拡大します。
直通運転は利用客の利便性向上を目指して実施されるもので、とくに高度経済成長期においては、私鉄と地下鉄の直通運転がさまざまな路線で実現しました。しかし中には、折角実現した地下鉄との直通運転をやめてしまった路線も。その一つが、今回の相鉄・東急直通線に関係する、東急東横線でした。
1964年に全線が開業した営団地下鉄(現:東京メトロ)日比谷線は、中目黒駅で東横線と接続し、同時に北千住~中目黒~日吉間で相互直通運転を開始しました。この際、車体長が短い方が急カーブに有利とした営団は3000系、18メートル級が主流だった東急は7000系と、ともに18メートル級の車両を投入しました。一方、東武は当時から20メートル級車両の導入を進めており、その中で18メートル級という同社標準から外れた車両の投入を余儀なくされました。
その後、東急でも20メートル級車両の導入が進み、日比谷線直通用車両は東横線の異端児となってしまいました。車両運用上のデメリットが大きく、さらに副都心線という新たな直通相手が決まった東横線にとっては、日比谷線との直通は重荷だったようです。結果的に、2013年3月16日の副都心線直通開始と入れ替わる形で、日比谷線との直通は廃止されてしまいました。
東横線との直通を廃止した後の日比谷線では、工事を実施した上で、東京メトロ・東武とも、20メートル級の新型車両を導入しました。しかしこれらの車両は、18メートル級車両の編成長にあわせて7両編成となっており、8・10両編成が標準の東横線とは両数が異なります。仮に、車両の置き換えがもう少し早く、さらに直通を維持していたとしても、やはり東横線の異端児となることは避けられませんでした。
なお、中目黒駅の構造自体は直通運転当時のままで、現在も東横線と日比谷線は同じホームで乗り換えが可能です。また、乗り換えなしという利便性こそ低下したものの、中目黒駅では全ての日比谷線列車が始発列車となったため、待っていればどの列車も必ず座れるようになっています。一部では利便性が低下しましたが、ある意味では便利になった部分もあるようです。