ロボットモノなどのフィクションでは、量産機よりも高性能な試作機が多数登場します。アムロ・レイが搭乗したRX-78「ガンダム」は、その最たる例です。
もちろん、現実世界にも試作機は存在します。ですが、現実の試作機は、フィクションのように量産機よりも高性能なのでしょうか?
そもそも試作機(試作車)とは、新技術を立証するためだったり、量産前の問題点の洗い出しのために製造されるものです。特に後者は、「量産先行機」と呼ばれることもあります。
鉄道車両の場合、前者の試作車(試験車とも)としては、JR東日本のE956形「ALFA-X」や、古いものだとJR西日本の500系900番台「WIN350」などが該当します。これらは純粋に試験目的で製造されたため、製造当時の量産車や、あるいは後に続く新形式の量産車よりも、高い性能を持っていることがほとんどです。たとえばWIN350は、時速350キロ運転を目指して開発された車両で、時速300キロでの営業運転となった500系量産車よりも高性能でした。
一方、後者の量産先行車は、N700Sの第1編成(J0編成)やJR西日本207系の第1編成(F1編成)など、量産車に近い、あるいはほぼ同じスペックを持っています。量産車は基本的に同じ形で作られるため、量産先行車も含めて、基本的には同一仕様に揃えられています。ただし、計画変更で第2編成から仕様が変わるなどで、量産先行車にしかない仕様が生まれることもあります。
量産先行車は、N700Sのように営業運転に就かないものもあれば、207系のように量産車に混じって活躍するものもあります。パッと見こそ量産車と同じですが、よく見ると量産先行車にしかない部分があったりと、特徴的な車両ばかり。試作車(量産先行車)だから高性能というわけではありませんが、趣味的には目を引く車両たちとなっています。