今週(3月6日~12日)1週間の鉄道ニュースの中から、鉄道コム注目の話題をご紹介。まずは、引退した新幹線の話題です。
引退した鉄道車両は、保存されるなどの特殊な事情がない限りは、基本的には解体されます。近年では、この解体した車両をリサイクルする動きが広まっており、JR東海は東海道新幹線の引退車両をリサイクルした「東海道新幹線再生アルミ」を展開。これまでに、駅舎の内装やN700Sの車内部品などに活用されています。
9日に新たに導入が発表されたのが、相鉄・東急新横浜線の新横浜駅構内に設けられる待合室「Shin-Yoko Gateway Spot」。地元ゆかりのデザイナーの監修のもと、新幹線のリサイクル部材が壁面のデザインに盛り込まれました。東海道新幹線を引退した車両の一部が、かつて走っていた新横浜駅で、人々の流れを今後も見守ることとなったのです。
この待合室では、東急の駅改良工事で発生した古材「えきもく」の活用や、「相鉄デザインブランドアッププロジェクト」で用いているレンガなど、各社の特色が現れた部材が活用されています。新たにレールが繋がる相鉄と東急、そして新横浜駅で接続するJR東海と、3社が手を携えたデザインとなっています。
もう一つのニュースは、JR東日本の久留里線。同社の千葉支社は9日、久留里線の末端区間にあたる久留里~上総亀山間について、今後の廃止を見据えた議論の実施を、自治体に申し入れました。
久留里線の2021年度における平均通過人員は、全線では1日あたり782人、今回問題となっている久留里~上総亀山間に至っては、1日あたり55人だといいます。大量輸送が特徴の鉄道において、このレベルでは鉄道としてのメリットが発揮できないことから、JRでは今回の申し入れに至りました。
日本では、かねてより少子高齢化が進んでおり、特に地方路線では利用者の減少が顕在化しつつありました。さらに、2020年以降のコロナ禍で、会社の収益を支えていた都市部の利用者が減少。都市部で生み出した利益で赤字路線を維持する、というスキームが成り立たなくなりつつあります。これまで利用者減少を直接の理由として路線を廃止したことがないJR東日本ですが、今回の議論がどのような方向に動くか注目されています。