駅長さんといえば、駅のトップに立つ人、ということは、みなさんご存じの通りです。ですが、全ての駅に駅長がいるのか、といえば、実はそうではありません。
北海道の小駅が舞台となった小説・映画「鉄道員」(ぽっぽや)のように、かつては小さな駅にも駅長が配置されていました。しかし現代では、駅長は主要駅のみに配置されることが多くなっています。
このような場合、駅長は複数の駅をまとめた「管区」(会社によって呼び方は異なります)の長という役割になります。よくある例が、A駅、B駅、C駅をまとめて管理する「A管区」という組織のトップで、会社によっては駅長ではなく「管区長」や「管理駅長」といった名前で呼ばれることもあります。
この組織構成は、駅長が複数駅を統括する東急や京成、管区長が複数駅を管理する相鉄、管区長と駅長は別の役職となっている小田急などと、会社ごとに別々のものが採用されています。
駅のトップとしての駅長は、組織管理だけでなく、列車を安全に運転させるための業務も担っています。具体的には、列車に出発合図を出したり、信号を操作するなどです。これらの運転取扱業務は、駅長1人が24時間365日対応することは無理なので、助役や主任といった下位の駅員も、「当務駅長」(これも会社によって呼び方は異なります)として、業務に携わっているのです。
話を組織のトップに戻すと、開業式典などで、駅長が手を上げる「出発合図」を実施することがあります。これは先述の運転取扱業務の一つ。セレモニー的な扱いが強いしぐさですが、実は重要な駅長の仕事の一つなのです。