北陸本線は、「サンダーバード」「しらさぎ」「ダイナスター」などと、多数の特急列車が行き交う「特急街道」の一つ。この路線の特急では、681系と683系の2形式が使われています。
1995年に量産車がデビューした681系は、当時の特急「雷鳥」の車両置き換えのみならず、従来の時速130キロ以上での営業運転実現を目指した車両として設計されました。JR線内での速度向上は現在も実現していませんが、2015年まで運転されていた在来線特急「はくたか」では、ほくほく線内で在来線最速となる時速160キロで運転していた記録を持ちます。
その681系の改良型として、2001年に登場したのが683系。増結などを考慮して681系より貫通型先頭車の割合が増えており、2008年には全てが貫通型タイプの先頭車となったグループも登場しています。北陸本線系統では2023年現在、主に681系が「しらさぎ」、683系が「サンダーバード」で運用されています。
そんな北陸本線ですが、2024年春には北陸新幹線金沢~敦賀間が開業する予定で、並行在来線となる北陸本線金沢~敦賀間は経営分離される計画です。特急列車も廃止となり、現在の「サンダーバード」は大阪~敦賀間、「しらさぎ」は名古屋~米原~敦賀間の運転に短縮される見込みです。
この運転区間短縮で、現在運用されている車両に余剰が発生することが考えられます。新幹線開業後の在来線について詳細な運行形態は発表されていないため、車両動向についても深掘りすることはできませんが、少なくとも旧型である681系の一部車両は、北陸本線系統から撤退することになりそうです。
加えて、運用区間が敦賀駅までとなると、走行区間は全てが直流電化区間となります。交直両用車両の681系・683系ですが、使用しない機器を搭載したままでは、無駄な検査箇所が発生します。また、走行時には使用しない機器の重量分、無駄なエネルギーを使うことにもなります。
かつて「しらさぎ」から「こうのとり」「くろしお」などへ転用された683系が、あわせて直流専用車の289系へ改造された事例を見ると、余剰とならない681系・683系でも、同様の改造が実施される可能性も考えられます。
この新幹線開業を見越してか、これまで金沢総合車両所に所属していた683系の一部が、2023年春のダイヤ改正にあわせて、吹田総合車両所京都支所に転属しました。北陸本線特急列車の変革を迎える2024年春まであと少し。在来線車両の動きにも注目です。