1963年にデビューし、国鉄の通勤型車両のスタンダードとなった103系。その製造数は3447両(他形式からの編入を含めると3503両)で、日本の電車として一番多く製造された形式です。この記録は、現在も破られていません。
そんな103系ですが、老朽化や新型車両の導入といった事情により、近年は急激に数を減らしています。2023年5月現在、同形式が走る路線は、加古川線、播但線、筑肥線の3路線のみとなっています。
加古川線と播但線の103系は、両線の電化を機に投入されたもの。すべて2両編成で、播但線用車両の前面スタイルは原型に近いものとなっています。一方、加古川線の車両は表情が異なり、筑肥線の車両や兄弟車の105系に近い見た目です。播但線では2本連結した4両編成での運用が残っており、これが現在の103系でもっとも長い編成となっています。
筑肥線の103系は、1982年に投入されました。この頃には次世代車両にあたる201系などの製造が始まっていたため、103系でありながら外観などに201系の要素が盛り込まれています。福岡市営地下鉄線への直通列車を中心に運用されてきましたが、2015年にその役目を後継の305系に譲りました。現在は3両編成が、筑前前原~西唐津間を走っています。
2023年3月、山陽本線和田岬支線(通称・和田岬線)から103系が撤退し、その勢力はさらに小さくなりました。現在同形式が残る3路線も、その運用はどれほど続くでしょうか。兵庫県と福岡県、103系の最後の牙城がどちらになるのか、今後の動きに注目です。