鉄道車両には、その形式を示す番号(車両番号)が記載されています。なかには、209系という形式なのに「モハ『208』」、3000系という形式で「3507」など、形式とは少しズレたように感じる番号が書かれていることもあります。これは、車両が持っている機器などの違いを示すため、同じ形式の中で番台を変えることが多いようです。
ですが、この車両番号から正確な形式を想像しにくいケースもあります。たとえば、岡山を走る路面電車、「岡電」こと岡山電気軌道。同社には、8101号車、8201号車など、8000番台の車両が複数走っていますが、それらはすべて「7900形」という形式。7000番台の形式なのに、名乗る番号は8000番台。この不可解な番号のつけ方には、岡電独自の文化に秘密があります。
岡電の車両には、1980年に登場した7000形以降、「車両番号の上2桁で、創業時からの経過年数を表示する」という規則性があります。同社の創業は1910年。「7000形」は、70年目にあたる1980年にデビューした車両という意味で命名されたのです。以降、同社では、7100形、7200形など、車両の仕様はほぼ共通でも、デビューの年ごとに細かく形式を分けていました。
しかし、1989年(79年目)デビューの7900形では、車両番号で創業時の経過年数を表示する一方、同じ仕様の車両をひとつの形式に揃えています。8000番台を名乗る7900形が誕生したのは、1990年(80年目)以降も7900形の増備が続いたためです。なお、同じ年に複数の車両が登場した場合、下1桁の数字が1、2、と増えていきます。
2002年以降に導入された9200形(低床車両)の付番法則も、7900形と同じです。ちなみに、イベント用車両のチャギントン電車も9200形の仲間で、2018年(108年目)のデビューであることから「1081号車」を名乗っています。