JR貨物は、3月31日に発表した2023年度の設備投資計画において、EH500形電気機関車を日本海縦貫線(羽越本線や北陸本線など)で走らせるための改造を、東北本線などで活躍する48両に対し実施していくと発表しました。
EH500形は、2車体を連結した構成の電気機関車。交流区間と直流区間の双方を走れる車両で、東北本線を中心に、貨物列車のけん引で活躍しています。かつては青函トンネルの通過にも対応しており、2015年の北海道新幹線開業前は、青森~函館(五稜郭)間で見ることもできました。
日本海縦貫線は、東海道本線や東北本線が被災した場合に、バイパスルートとして機能することが期待されています。たとえば、東海道本線が災害で不通となった場合、日本海縦貫線と、高崎線・上越線を使えば、首都圏と近畿・九州方面や東北・北海道方面の輸送を継続することができます。
この際、輸送の柔軟性を高めるには、普段は別路線で使用している機関車を、う回ルートでも使用できるようにすることが必要です。JR貨物では、2021年度にこのEH500形の改造に着手し、2022年度には18両を改造。そして今回、仙台総合鉄道部に所属する48両に、改造対象が広げられたのです。
JR貨物では、2011年の東日本大震災の際には磐越西線で、2018年の西日本豪雨の際には伯備線・山陰本線で、それぞれう回貨物列車を運転しました。近年、災害が激化する中で、鉄道路線は毎年のようにどこかで被災し、不通となっています。そのような中でも物流を止めることがないよう、JR貨物の対策が進められています。