鉄道車両は、製造からおよそ30年から40年使われることが一般的。ですが、さまざまな都合で、まだ使える車両が新型車両に置き換えられることがあります。
そのような場合は、都市部の主要路線から支線や地方路線へ転用されたり、あるいは大手私鉄から中小私鉄へ譲渡されるなど、車両が第二の人生(車生?)を歩むことになります。
ただし、都市部では10両編成のような長い編成を組むのが普通ですが、地方では短い編成が一般的。そのまま組み替えてしまうと、先頭車の数が少なく、中間車が余ってしまうことがあります。このため、中間車を先頭車に改造する先頭化改造車が生まれることがあります。
かつて山手線で使われていたJR東日本の205系は、鶴見線や南武支線、仙石線などに転用される際に、先頭化改造車が生まれました。この時に改造された車両の先頭デザインは、E233系のようなライトが上部にある形で、それまでと大きく異なる印象を与えています。
JR東日本の205系は、富士急行(現:富士山麓電気鉄道)にも譲渡されましたが、この時にも先頭化改造を実施。鶴見線用などとは異なり、元の先頭車と同じデザインの顔を中間車に取り付ける形となりました。
東急の車両は、引退後に地方私鉄に譲渡されるものが多く、短編成化にあわせた先頭化改造も多く見られます。伊豆急行に譲渡された8000系は、元のデザインに近い形の先頭化改造車となりました。
一方で、秩父鉄道7800系(元8090系)のように、元デザインの印象を残しつつも別デザインとなった車両、大きな改造を避けて簡易的なデザインとした上田電鉄6000系、伊賀鉄道200系(ともに元1000系)など、同じ元東急の車両といえど、その改造方針は車両によってわかれています。
一部で妙な人気をほこる先頭化改造車が、JR西日本の「サンパチ君」こと113系3800番台。福知山エリアに投入するために改造された車両ですが、中間車の面影をそのまま残す前面に、黄色の補強板を装着するという、JRらしくない簡易的な改造車両でした。
惜しまれつつ(?)も2008年に引退してしまいましたが、鉄道開業150年を記念した「鉄道コレクション」のラインナップに選定されたり、京都鉄道博物館の新グッズで登場したりと、引退から15年経った現在でも、その人気は衰えていないようです。