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需要回復とともに復活なるか 阪急の嵐山行き臨時列車

2023年5月3日(祝) 鉄道コムスタッフ 井上拓己

大阪梅田駅と京都河原町駅を結び、京阪間の大動脈のひとつとして旅客輸送を担う阪急電鉄の京都線。通勤・通学のほか、観光客の輸送需要もあることから、新型コロナウイルス流行前は、行楽期の土休日を中心に臨時列車が走ることもありました。

阪急の強みは、京都屈指の観光地である嵐山に、大阪方面からの直通列車を出せること。その特性を活かし、昔から梅田~嵐山間に「さがのエクスプレス」などが設定されていました。2001年以降、臨時列車の行先は嵐山から河原町とされ、列車名も「いい古都エクスプレス」に改められました。

それまでの行楽期における嵐山行き臨時列車は、京都線内の運用で完結していました。これが大きく変わったのが、2008年秋。神戸線の西宮北口駅から嵐山駅へ直通する列車が新たに設定されたのです。

この時点で「いい古都エクスプレス」は残りましたが、他線からの直通列車の本数が増えるとともに、2009年秋をもって姿を消しました。

また同年12月、行楽向けとは別に、大阪市営地下鉄(当時)堺筋線との直通運転40周年を記念した嵐山行き臨時列車が、同線66系で運転されています。

嵐山線を走る、堺筋線66系の臨時列車
嵐山線を走る、堺筋線66系の臨時列車
嵐山駅に停車中の堺筋線66系(写真右)。嵐山線定期列車と顔を合わせます
嵐山駅に停車中の堺筋線66系(写真右)。嵐山線定期列車と顔を合わせます

2010年春には、高速神戸駅、宝塚駅、梅田駅、河原町駅から嵐山に向かう臨時列車が設定されます。この年から臨時列車に正式な種別が与えられ、京都線発着の列車は「快速特急」、他路線発着の列車は「直通特急」を名乗るようになりました。梅田発着の快速特急の一部には、同年2月に定期運用を離脱した6300系6350編成が6両編成で充当され、話題を呼びました。これが、現在に至る観光列車「京とれいん」の源流であったといえるでしょう。

6両編成で嵐山行き快速特急に充当される6350編成
6両編成で嵐山行き快速特急に充当される6350編成

2011年5月には、堺筋線天下茶屋駅からの直通特急を新設。以降、臨時列車の発着駅は高速神戸駅、宝塚駅(今津線、神戸線経由)、梅田駅、河原町駅、天下茶屋駅で基本的に揃えられます。各列車には発着駅別に愛称が与えられ、専用のヘッドマークを掲出して運転されました。

なお、天下茶屋発着の列車は、同年5月の2日間のみ堺筋線の車両が充当されたものの、同年秋からは阪急車両の充当に変更されました。

専用ヘッドマークを掲げる7000系の直通特急。「とげつ」は宝塚駅発着列車の愛称です
専用ヘッドマークを掲げる7000系の直通特急。「とげつ」は宝塚駅発着列車の愛称です

2019年には、運転区間が大阪梅田~嵐山間の快速特急(土休日のみ)と「京とれいん雅洛」編成による西宮北口~嵐山間の直通特急(一部の平日のみ)に縮小されるものの、臨時列車は残されました。しかし、新型コロナウイルスの流行により、2020年の臨時列車は中止。以降、現在に至るまで復活していません。

2023年4月現在、観光需要は戻りつつあります。今後、阪急線のあちこちを駆け回る臨時列車を、再び見られる日は来るのでしょうか。

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