近年はEメールや「LINE」などのチャットツールに押され気味ですが、それでも電話は今でも重要なコミュニケーションツールです。一般向けの電話網としては、日本ではNTTなどがサービスを提供していますが、これとは別に、鉄道各社では「鉄道電話」という独自の回線を持っています。
鉄道電話は、線路沿いに敷いた通信線などを使用する、鉄道会社専用の電話。一種の巨大な内線網といえます。私鉄のものは基本的に社内で完結しており、一部の直通運転を実施している会社間を除けば、社外とコミュニケーションを取ることはできません。
「鉄電」や「社電」などとも略されるこの鉄道電話は、通常の電話と同様、それぞれに番号(ただし桁数は少なめ)が振られており、掛け方も一般的なものと同じ。部署間の打ち合わせや事務連絡など、離れた部署間での連絡に使われているようです。
なお、鉄電は外部との連絡用のため、駅構内や車両基地内といった近い範囲の場合には、「テレスピ」という音声呼出電話機や、業務用の携帯無線が使われることがあります。
鉄電は外部とは繋がっていない、と先述しましたが、例外(というより規模的には私鉄のものが例外なのですが)となるのが「JR電話」。その名の通り、JRグループ各社を中心に導入されている鉄道電話です。もとは国鉄時代に導入されたもので、国鉄分割民営化時に設立された会社がソフトバンク傘下となった経緯から、現在はソフトバンクが運営しています。
このJR電話は、JR各社のみならず、JRと直通している鉄道会社や、旅行代理店、さらには鉄道関連書籍を刊行している出版社でも導入している会社があります。国鉄→JRと密に連絡を取る必要がある会社が導入しているようで、かつての国鉄の影響力が垣間見えます。