JR北海道のキハ141系は、5月20日の室蘭本線などのダイヤ改正で、営業運転を退きました。また、6月11日にはJR東日本の「SL銀河」が運転を終了。こちらの列車で使われてきたキハ141系も、定期的な運用を終了します。
キハ141系は、見た目は普通の気動車ですが、実は客車を改造して生まれた変わり種車両。国鉄時代にも試みられた客車改造気動車の中で、唯一と言っていい成功作でした。
客車改造気動車として最初に登場したのは、キハ40系。といっても、現代も北海道や西日本で走っている車両ではなく、初代のキハ40系で、これは後にキハ08系に改番されました。この形式は、旧型客車である60系客車を改造したもの。見た目は、旧客らしい背の高い車体はそのままに、塗装を気動車の標準色に変更し、ヘッドライトを取り付けたという、なんとも不思議な車両でした。
続いて登場したのは、JR西日本のキハ33形。こちらは50系客車を改造したもので、側面は面影を残したものの、先頭部がブラックフェイスになるなど、キハ08系よりは気動車らしい見た目でした。
ただし、キハ08系とキハ33形は、いずれも少数の改造に留まってしまいました。客車列車の減少で余剰となった客車を活用できるメリットがある一方、改造の手間というデメリットや、特にキハ08系ではエンジンの非力さが足を引っ張ってしまったのです。
しかし、キハ33形と同様、50系客車を改造して登場したJR北海道のキハ141系は、40両近くが導入された成功作となりました。当初は電化前の学園都市線を中心に活躍し、電化後にも残存した一部は、室蘭本線に活躍の場を移すことに。さらには3両がJR東日本に譲渡され、「SL銀河」の客車役に改造されました。
キハ141系は、改造前の50系としては10~15年程度の活躍でしたが、改造後は20~30年使用され、客車時代よりも気動車時代の方が長い車両となりました。先述した通り、2023年に営業運転から退くキハ141系ですが、鉄道車両史に残る存在となったと言えるでしょう。