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江ノ電、「14分ダイヤ」は行楽期にどう活きる? 4年ぶりに沿線住民優先の社会実験も

2023年4月29日(祝) 鉄道コムスタッフ 井上拓己

今年も4月~5月の大型連休が近づいてきました。過ごしやすい気候も重なり、各地の観光地は大きな賑わいを見せます。

「江ノ電」こと江ノ島電鉄が走る神奈川県の鎌倉や江の島は、東京から近い観光地のひとつとして人気があります。押し寄せる観光客で、列車は軒並み超満員。そのため、これまでの江ノ電では、行楽期における列車の遅れが日常茶飯事でした。

関東の一大観光地のひとつ、江の島を背景に走る江ノ電
関東の一大観光地のひとつ、江の島を背景に走る江ノ電

慢性的な遅れには、

  • 乗客が多く、乗降に時間がかかる
  • 路面区間で自動車の渋滞に巻き込まれる
  • 終着駅での折り返し時間が極端に短い
  • 路線が単線のため、列車の行き違いができる場所が限られる

など、複数の要因があります。その対策として、江ノ電では2023年3月にダイヤを改正。運転間隔をこれまでの12分から14分に広げる代わりに、主要駅の停車時間に余裕を持たせました。時間に余裕をつくり、遅れを吸収する作戦ですが、大型連休において、これがどのように機能するでしょうか。

路面区間をゆく江ノ電。行楽期の休日は自動車の渋滞などが多く、電車もよく巻き込まれています
路面区間をゆく江ノ電。行楽期の休日は自動車の渋滞などが多く、電車もよく巻き込まれています

また、観光期の混雑は、沿線に住む人たちにとって悩ましいものがあります。駅や列車が混み合い、乗りたい列車に乗れない場合が出てくるためです。とくに鎌倉駅や藤沢駅では、駅の改札の外にまで乗車列が延び、まさに遊園地のアトラクションのような状態になることも。これでは、沿線の人々が相当な不便をこうむります。

そこで江ノ電では、5月4日~6日の3日間、沿線の人々を優先的に駅構内へ案内する社会実験を、鎌倉駅で実施します。市内の江ノ電沿線地域に在住、在学、在勤の人が対象で、事前の手続きで発行した証明書を持っていけば、優先的に駅構内へ入れます。この社会実験は2017年~2019年にも実施しており、新型コロナウイルスの流行期間というブランクを経て、4年ぶりの復活となります。

観光客を受け入れながら、定時運転を目指すとともに、沿線の人へのしわ寄せを極力減らす。地元優先の社会実験は4回目で、14分間隔のダイヤでは初めての実施です。この社会実験、沿線の人々からはおおむね好評のようですが、今年はダイヤ面も含め、どのように評されるのか、気になるところです。

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