4月23日投開票の函館市長選によって、タレントの大泉洋さんの兄であることでも知られる大泉潤さんが当選し、函館市の新市長となることが決まりました。大泉さんは選挙戦の公約において、新幹線を函館駅へ直接乗り入れさせることを掲げており、見事当選した後は、2023年度内にも乗り入れに向けた調査を開始すると発言しています。
北海道新幹線は、2023年現在は新青森~新函館北斗間が開通しており、2030年度末には新函館北斗~札幌間も開業する予定です。札幌まで開通すれば道南方面の利便性が大きく向上する新幹線ですが、残念ながら函館市内には乗り入れておらず、現在は在来線に乗り継ぐ必要があります。
大泉さんが掲げているのは、このアクセスの改善。新函館北斗~函館間に新幹線を直接乗り入れさせることで、乗り換えをなくそうというのです。実際に計画を進めるにあたっては、H5系などの「フル規格」車両をそのまま直通させるか、あるいは山形・秋田新幹線のような車体の小さい「ミニ新幹線」方式とする方法が考えられますが、大泉さんは後者の方針で検討しているようです。
現在建設が進められている新函館北斗~札幌間は、同区間の所要時間を最速で1時間強という想定。これを函館駅へ直通させれば、函館~札幌間は1時間半以内で結ばれることになり、現行の特急「北斗」の4時間弱よりも大幅な所要時間短縮と、「北斗」と同じ乗り換えなしでの移動が実現できます。
一方、仮にミニ新幹線方式を採用するとなると、東京方面との直通は難しそう。現在の「はやぶさ」は、東北新幹線で秋田新幹線「こまち」と連結して走る列車が大部分で、さらに函館行きの編成を繋げる余裕はありません。「こまち」と連結しない列車に限るとしても、盛岡~新函館北斗間の各駅は10両または12両分しかホームが無いため、現在の10両編成に加えて増結することも困難です。
さらに、北海道新幹線延伸開業以降は、函館~新函館北斗間はJR北海道から経営分離される計画で、果たして新幹線直通に費用面でも営業面でも対応しきれるのか……などなど、考えるだけでも課題は山積みです。ただし、新幹線の乗り入れが全く不可能というわけではありません。本当に新幹線の乗り入れが実現するかはまだまだ不透明ですが、新市長の手腕が期待されます。