鉄道駅の数を都道府県別に見ると、東京都、大阪府に次いで多いのが愛知県。500余りを数えます。
数が多ければ県内の離れた場所に同じ表記、同じ読みの駅がいくつかあっても不思議ではありません。日比野駅は名古屋市熱田区、愛西市にあり、植田駅は「うえだ」が名古屋市天白区、「うえた」が豊橋市に分布。「まるのうち」と読む駅は、名古屋市中区に丸の内駅があり、清須市には丸ノ内駅があるといった具合にさまざまで、いずれも注意を要します。
これらの例とは逆に、隣接していながら駅名が異なる接続駅というのも同県には少なからずあります。500余駅のうち、その半数近くを占める名古屋鉄道(名鉄)の駅を基準にするとそれらが浮き彫りに。JR駅と隣り合う例では、名鉄一宮と尾張一宮、豊川稲荷と豊川、蒲郡競艇場前と三河塩津などの組合せがあり、愛知環状鉄道と接続する駅では、新瀬戸と瀬戸市、岡崎公園前と中岡崎の2組が挙げられます。
直線距離で概ね500メートル以内の範囲でのJR線との組合せでは、黒田と木曽川、神宮前と熱田、知多半田と半田などがあります。名古屋市営地下鉄での組合せとしては、東大手と名古屋城、呼続と妙音通、桜と桜本町など。逆に、同条件下で駅名が同じという例もあり、名古屋本線と地下鉄名城線の堀田駅が該当します。両駅間の距離は400メートルほどです。
こうした例のほかに、3社局以上で相互に乗り換え可能な駅がすべて同じ名称なのが、大曽根駅と金山駅。間違える心配がないという点では望ましいと言えるでしょう。名鉄とJRが同じで、ほかの事業者が異なるというパターンもあります。少々離れていますが、弥富と近鉄弥富、豊橋と新豊橋がその好例。豊橋の例では、豊鉄市内線の駅前停留場も入れると数え方では「三社三様」になります。
駅数が多く、他社線との乗り換えがしやすい駅も多数存在する愛知県。駅名に留意しつつ、その多彩な経路や行程を楽しみたいものです。