路面電車といえば、道路の上に線路を敷き、そこを電車が通るというのが一般的。中には東急世田谷線のように全線が専用の軌道という路線もありますが、車両や路線の雰囲気などに、何かしら「路面電車らしさ」があります。
しかし法律上は、大阪メトロ御堂筋線や名鉄豊川線、新交通ゆりかもめ(ただし一部区間のみ)なども、実は路面電車の仲間。どう見ても路面電車ではないのですが、何故このような分類となっているのでしょうか。
JRや大手私鉄のような一般の鉄道路線は、日本の法律では「鉄道事業法」に基づいた(狭義の)「鉄道」です。一方の路面電車は、同じレールの上を走る乗り物ですが、「軌道法」に基づいた「軌道」と分類されています。
名鉄豊川線の場合は、もとは路面電車の一路線として開業したのが理由。現在は鉄道線のネットワークに組み込まれていますが、開業時は路面電車の車両が使われていました。同じように、京王線や京阪本線、阪神本線なども、開業時は軌道法に準拠した路線でしたが、後に鉄道事業法(またはその前身の法律)に基づく鉄道に変更されています。
御堂筋線やゆりかもめは、道路と一体で路線を整備したため、軌道法準拠の路線となりました。ゆりかもめの他、多くの道路上を通るモノレールや新交通システムでは、軌道法準拠の路線として建設されており、実は法律上は「路面電車の仲間」なのです。
ただし、新交通システムで軌道法に準拠した区間となっているのは、道路法に基づく道路(およびその上下空間)を通る部分のみ。港湾法に基づく港湾道路を通る区間は、軌道法ではなく鉄道事業法に準拠しています。ゆりかもめの場合は、新橋~日の出間は軌道法、日の出~お台場海浜公園間は鉄道事業法……と、下を通る道路によって準拠法がコロコロと変わります。レインボーブリッジを通る区間は、同一平面上をゆりかもめと一般道路が走り、いかにも「路面電車の仲間」らしい場所なのですが、この区間は鉄道事業法準拠となっています。