鉄道友の会は25日、2023年の「ブルーリボン賞」「ローレル賞」を決定したと発表しました。
ブルーリボン賞とローレル賞は、日本の鉄道車両の進歩発展に寄与することを目的に、鉄道友の会が毎年1回、前年の1月1日から12月31日までの間に国内で営業運転を正式に開始した新造および改造車両を対象として、鉄道友の会会員の投票に基づき選定している賞です。
2023年のブルーリボン賞に選ばれたのは、JR東海のHC85系。特急「ひだ」「南紀」で使われてきたキハ85系の置き換え用として開発された車両です。
HC85系の走行機器には、発電装置と蓄電池を組み合わせたハイブリッドシステムを採用。ハイブリッド車両としては国内最速となる、時速120キロでの営業運転を実現しています。また、車内外のデザインや、車両のモニタリングシステムなど、さまざまな点が鉄道友の会会員に評価された結果、投票で最多の支持を獲得。選考委員会も多くの観点からブルーリボン賞にふさわしい最も優秀な車両であると評価されました。
ローレル賞には、京都市交通局の烏丸線用新型車両、20系が選定されました。
京都市交通局では、20系の設計に際し、工業デザインの専門家や公募の市民を委員とする、デザイン懇談会を設置。車両コンセプトを策定した後、具体的なデザインを制作し、市民や利用者の投票によって最終案を決定しました。その結果生まれた20系は、車内の一部を京都の伝統産業品による飾りつけスペースとしたほか、中間車の通路部上部、吊り手のさや、車外の交通局章などに、京都の伝統産業の製品や技術が活用された車両となっています。
鉄道友の会では、公営交通事業者の通勤車の制約の中で、完成度が高く最新技術と京都らしさを併せ持つ優れた車両であることを評価し、20系をローレル賞に選定したとしています。
なお、2023年のブルーリボン賞・ローレル賞選定対象となったのは、HC85系、京都市20系を含めた13形式。両形式のほか、JR九州のN700S 8000番台、キハ40系「ふたつ星4047」、近畿日本鉄道の19200系「あをによし」、東京都交通局の6500形などが、候補に挙がっていました。