鉄道コム

鉄道コらム

同じ路線なのになぜ分離? 北と南にわかれて走る阪急今津線

2023年9月17日(日) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

阪急の今津線は、宝塚駅と今津駅を結ぶ、約9キロの路線。神戸線や京都線のような本線格ではありませんが、途中に神戸本線との乗換駅である西宮北口駅を有し、支線の中では利用が多い路線です。

阪急今津線(今津北線)の列車
阪急今津線(今津北線)の列車

この今津線ですが、路線としては1本なものの、実態は宝塚~西宮北口間と西宮北口~今津間の2区間に分かれています。前者は「今津北線」とも呼ばれ、神戸線との直通列車も運転されている一方、「今津南線」とも呼ばれる後者は、3両編成のワンマン列車が行き来するローカル線。同じ路線ですが、なぜこのように分断されているのでしょうか。

1926年に全通した今津線は、もとは一つの路線でした。この路線が西宮北口~今津間で延伸開業した際、西宮北口駅には既に神戸線が通っている状態。当時は鉄道同士の立体交差駅が一般的ではなかったこと、加えて列車本数も今ほど多くなかったことから、神戸線と今津線は地上で交差する構造とされました。

しかし、各線の利用客が増えていくことで、この平面交差はダイヤ編成上のネックとなっていきます。さらに乗換駅である同駅は、構内を移動する利用者も多く、1980年代には限界を迎えてしまいました。その結果、西宮北口駅は駅舎を橋上化することに。あわせて平面交差を廃止するため、1984年、今津線は南北に分断されてしまったのです。

平面交差廃止後も、今津線は神戸線と立体交差する形で再接続することも検討されていました。しかし、南北双方の流動の違いなどから、最終的には断念されてしまいました。

かつて使われていた交差部のレールは、その形状から「ダイヤモンドクロッシング」という名前が付けられていました。西宮北口駅からは消えたダイヤモンドクロッシングですが、この平面交差の歴史を伝える証人として、今も同駅近くの公園に保存されています。

西宮北口駅付近の公園で展示されているダイヤモンドクロッシング
西宮北口駅付近の公園で展示されているダイヤモンドクロッシング
 

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

鉄道コムおすすめ情報

画像

高崎・盛岡に新型気動車

ハイブリッド気動車「HB-E300系」2025年度下期デビュー。八高線や釜石線などに投入。

画像

東武の車両「記録推奨度」

この車両、いつまで走る? 引退が危ぶまれる車両や、見た目が変わりそうな車両をご紹介。今回は東武編です。

画像

4000系が「機関車風」塗装に

「西武秩父線開通55周年記念車両」11日運転開始。4000系をE851形を模した塗装に変更。

画像

撮影スタイルとレンズ選び

撮影スタイルにあったレンズ選びについて、プロカメラマンが解説! 今回は、高倍率ズーム・広角レンズ編です。

画像

京都鉄博に381系

12月12日~17日に特別展示。16日までは、一部で「スーパーくろしお」色ラッピングも実施。

画像

11月の鉄道イベント一覧

数百件の情報を掲載中。鉄道旅行や撮影の計画には、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。