今週(6月5日~11日)1週間の鉄道ニュースの中から、鉄道コム注目の話題をご紹介。まずは、危機に瀕する北海道の博物館展示車両の話題です。
小樽市の総合博物館本館では、キハ80系や機関車など、さまざまな鉄道車両が屋外に展示されています。その展示車両のうち、ED75形501号機、ED76形509号機について、市が8月以降に解体する方針であることが報道されました。
解体理由は、人体に有害なPCB(ポリ塩化ビフェニル)が、機関車の搭載機器に含まれていることが判明したため。この機器だけを取り出して処理すればよさそうですが、スペースの問題などで困難なことから、車両解体に踏み切ったといいます。
この2両の機関車は、北海道の電化初期に活躍したもの。特にED75形は、電化時の試作機関車として製造されたもので、JR北海道によって準鉄道記念物にも指定されています。文化的な面では、解体は惜しまれることです。
とはいえ、保存車両の維持には費用と手間が掛かります。企業や自治体、ボランティアによって大切に保存されている車両も多くありますが、一方では放置され朽ち果てている車両も全国で見られます。
活躍した車両をなるべく後世に残してほしい、と願う鉄道ファンの気持ちはみな同じです。しかし車両を管理する側は、やはりどこかで折り合いはつけなければなりません。鉄道自体が斜陽化していると言われて久しい中、鉄道車両自体の保存についても問われているのかもしれません。
もう一つのニュースは、東武鉄道の浅草駅と東武日光駅のリニューアルの話題。7月15日の特急「スペーシア X」デビューにあわせ、両駅構内のデザインを、日光エリアを思わせる内装に変更するというものです。
浅草駅のリニューアルは、「スペーシア X」が発車する5番ホームが対象。日光の自然や荘厳さを感じさせるデザインで、木目調の装飾や光の演出を多用するといいます。
同駅の5番ホームは、2017年までは日光・鬼怒川・会津方面へ向かう快速・区間快速列車が発着していました。同社の広報担当者によると、快速廃止時点では「スペーシア X」の(少なくとも具体的な)話はなく、役目を終えたホームの扱いは未定だったそう。約6年の時を経て、ふたたびこのホームが日光・鬼怒川への旅の始発点となります。